HTML5によって、マルチデバイス時代のアプリケーションプラットフォームとして進化しつつあるWebブラウザ。その背景には、Ajaxの登場やHTMLの進化、Web標準化などの流れがあります。前回から2回に分けてその歴史を総ざらい。この「HTML5(2)」では、HTML標準化とHTML5の登場について解説します。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
1990年代初頭に、文字や写真のような動きのない情報をインターネットを介して交換するための手段として登場したのがWebです。しかし現在では、動画再生やビデオ会議、ゲームなど動きのある対話型のアプリケーションが動作するプラットフォームとして利用されています。
この仕組みを実現しているのが、情報を送り出すWebサーバと、その情報を表示するブラウザ、そして情報をやりとりする手順である通信プロトコルです。この組合せは1つではありません。例えば、ブラウザだけでも、MicrosoftのInternet Explorer、MozillaのFirefox、AppleのSafari、GoogleのChromeなどがあります。Webサーバや通信プロトコルにもいろいろなものがあります。
このような異なるソフトウェアを使ってもお互いに情報のやりとりができ、同様の表現ができるのは、情報の構造やブラウザへ表示方法を指定するHTMLが標準化され、共通に利用できるからです。
ところがこのHTMLは、1997年にバージョン4の「HTML 4」が定められ、1999年に「4.01」にマイナーバージョンアップされて以降、大きな改訂もないままに最近まで使われてきました。
その間、ネットワークの高速化やコンピュータの性能向上、GPSやセンサーが組み込まれたスマートフォンの出現など、当時とは利用環境が、大きく変わってしまいました。
この状況に対応するために、HTML 4はそのままに、動画や音声を再生するといったHTML 4に含まれない機能をプラグイン(Flashなど)といわれるソフトウェアを追加して補完してきたのです。
しかし、このような対処ではもはや限界が見えてきました。そこで、時代にふさわしい改訂が求められるようになり、次代を担う「HTML5」を定める取り組みが生まれたのです。
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