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» 2017年05月27日 09時00分 UPDATE

Dr.本荘のThought & Share:なぜ、“上司も管理職もいない組織”でイノベーションが起きるのか

“上司も管理職もいない会社”でイノベーションが起こる理由とは。

[本荘修二,ITmedia]

この記事は本荘修二氏のブログ「Dr.本荘のThought & Share」より転載、編集しています。


 こちらの記事で記したように『Reinventing Organizations』と世界の大きな潮流について簡単に書いてみたい。

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 組織を再発明する意の「Reinventing Organizations: A Guide to Creating Organizations Inspired by the Next Stage of Human Consciousness」なるタイトルの書籍を2014年に出版した著者フレデリック・ラルー(Frederic Laloux)は、その新たな組織・経営論とともに世界の注目を集めている。

 ラルーらは、年に2度、ギリシャのロードス島で「NEXT STAGE WORLD」なる数日のプログラムを開いており、“THE GLOBAL GATHERING FOR NEXT-STAGE LEADERSHIP AND PRACTICE”とうたっているように、世界から組織・経営のイノベーターが集まっている。“For practitioners and teams inspired by Teal: transforming themselves, their work, their organization”なる副題に示すように、「ティール(Teal)」という新たな組織概念を志向する人たちだ。

 ティール(Teal)とは、青緑色のこと。以下にある組織パラダイムのチャートのように、組織の在り方は進化を続けており、既存組織の多くはOrangeやAmberにとどまっているが、一部はGreenに進化しており、Tealをこれからの組織像として提唱している。

 現在の組織をRedからTealまで5つに区分したのが下の図だ。

  • Red(赤色)……狼(オオカミ)、力と恐れ、短期志向 [例]マフィアやギャング
  • Amber(こはく色)……階層、安定、コントロール、形式、手続き [例]政府、協会、公立校
  • Orange(オレンジ)……マシン、競争、利益、イノベーション、責任 [例]大企業
  • Green(緑色)……顧客の喜び、価値観、企業文化 [例]サウスウエスト航空、ベン&ジェリーズ
  • Teal(青緑色)……崇高な目的、権限委譲、全体観、自己管理、進化を続ける目的 [例]パタゴニア、モーニングスター
Photo Image source: Lean and Agile Adoption with the Laloux Culture Model by Peter Green

 ほとんどの企業組織はOrange、そして一部はAmberにとどまっている。先進的な企業はGreenであり、数限られた革新的な企業がTealと認められる。また、GreenとTealには、AgileとLeanの性格が加わる。こちらの記事で取り上げたザッポス(米トップのオンライン靴小売り)は、GreenからTealへの進化の途上といえよう。

 これを簡潔に解説しているのが、この動画(8分)だ。

 では、どうすれば “ティール組織”を実現できるのか?

 フレデリック・ラルーは、ティール組織には、マネジメントにおける3つのブレークスルーがあると指摘する。

  • セルフマネジメント:上司部下の関係なし、管理職なしの組織運営。(言い換えると)自己管理する自立した個人とともに、セルフマネジメントされたチーム群からなる組織。
  • 個人の全体性:一人ひとりが自我や自己の深い部分を隠さず併せ持つ。(言い換えると)機械の部品のようにではなく、ハートやスピリット、クリエイティビティなどを持った人として捉え、ケアする。
  • 進化する目的:組織の生命力に人々が力と知恵を合わせる。(言い換えると)1人のトップが組織の目的を決めるのでなく、新たに人が加わったり組織が変化したりしたら、目的も進化させる。

 進化する目的について補足したい。よくある目的は、利益や雇用、株主へのリターンなどだが、一方、社会や人間性のため、というより大きな視点がある。誰かの意図により目的を設けるのでなく、あるべき組織の成長・進化は何か、どうすればよいのか、と考え、協同するのが、「進化する目的」。大きなソウル熱意に基づく意義にフォーカスすると、利益がもたらされる、という研究結果もある。

 下の図は、ティール組織を実現するポイントをまとめたものだ。

 日本の嘉村賢州氏(home's vi代表理事)らは、冒頭に記したNEXT STAGE WORLDに複数回参加し、日本で報告会などを開いている(参考ブログ)。

嘉村氏らは、日本でTeal, Holacracyなどの情報共有を図るFacebookのクローズドなグループ「Org Lab 組織の進化に向けての実践型ラーニングコミュニティ」を運営し、2017年10月16〜20日にギリシャのロードス島にて開催される次回NEXT STAGE WORLDの日本からの通訳付きのツアー・コーディネートや、日本で開催する海外Teal型経営実践者を招聘(しょうへい)したワークショップの告知などをしている。

著者プロフィール:本荘修二

本荘事務所代表として、新事業など大企業、ならびにベンチャー、投資家へのコンサルティングを手掛ける。

多摩大学大学院(MBA)客員教授。

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