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» 2017年07月12日 13時00分 UPDATE

Enterprise IT Kaleidoscope:三度目の正直? ARM版Windows 10は離陸するのか (1/3)

Microsoftは、ARMプロセッサに対応したWindows OSに、何度か挑戦している。Windows 8をベースとした「Windows RT」、スマートフォン向けの「Windows 10 Mobile」などがそれだ。しかし、残念ながらほとんど使われていない。では2017年内に発売予定のARM版Windows 10はどうなのだろうか。

[山本雅史,ITmedia]

 2016年に開発が発表されたARM版のWindows 10は、これまであまり詳細に解説された資料がなかった。しかし、5月に開催された開発者向けカンファレンス「Build 2017」の事前レコーディングセッションで、ARM版Windows 10(Windows 10 on ARM)の内部構成が発表された。さらに、5月末に台湾で開催されたIT関連の展示会「Computex Taipei 2017」において、ARM版Windows 10のプロセッサを提供しているQualcommが、リファレンスプラットフォームを展示したり、実際にARM版Windows 10が稼働するハードウェアを展示していたりした。

 今回、こういった情報からARM版Windows 10はどういったOSなのか、リリースされるハードウェアがどのようなモノになるかを見ていこう。

ARM版Windows 10はどんなOS?

 ARMプロセッサに対応したWindows OSとしては、Windows 8をベースとした「Windows RT」、スマートフォン向けの「Windows 10 Mobile」などが知られている。ただWindows RTにしても、Windows 10 Mobileにしても、残念ながらほとんど使われていない(Winodws 10 Mobileは、企業向けのスマートフォンとして採用される可能性はあるが、実際にスマートフォンを発売しているメーカーが少なくなってきている)。

 実際、Windows RTに関しては、2012年に鳴り物入りで発表され、Microsoftが「Surface RT」「Surface2」といった2in1タブレットを、2012年から2013年にかけて発売したが、結局市場に受け入れられずに、Microsoftは莫大(ばくだい)な在庫を償却することになった。

 スマートフォン向けのWindows 10 Mobileに関しては、市場をiPhoneとAndroidが席巻している状況で、Windows 10と互換性がある(UWPアプリが動作する)といっても、市場には受け入れられなかった。実際、Nokiaから買収した携帯電話事業を2016年に売却し、実質的に携帯電話事業から手を引いた状況となっている(2015年にフラッグシップ端末を発売後、後継機種は発表されていない)。

 Windows 10 Mobile Creators Updateと以降のアップデートに関しては、Snapdragon 820/617を搭載したスマートフォンが対象となり(Microsoftがサポートを表明したの11機種ほど)、それ以外のWindows 10 Mobile端末はアップデートができても、動作を保証しないという状況になっている(ARM版Windows 10の動作を保証しているわけではない)。

Windows 10 Mobile Windows 10 MobileのCreators Update以降は、アップデートできるスマートフォンが制限されている(Microsoftのブログから転載)

 Microsoftは、Windows RTやWindows 10 Mobileが普及しなかった原因の1つが、今までのデスクトップ アプリケーション(Win32ベース)が動作しないため、もしくはUWPアプリしかサポートされないためと考えているようだ。徐々にWindows Storeに掲載されるUWPアプリも増えているが、iOSやAndroidに比べるとお話にならないほど数が少ない。このような状況では、多くのユーザーはあえてWindows RTやWindows 10 Mobileを使用することはないだろう。

 また、Microsoftでは、UWPアプリへの移植よりも、デスクトップ アプリケーションをUWPカプセル化(フルUWPアプリではなく、UWP上でデスクトップ アプリケーションを動かす仕組み)して、とにかくWindows Storeに登録されるアプリを増やしていこうという方針に変わった。

 UWPカプセル化したアプリケーションは、既存のWin32環境をUWP上で仮想化して用意している。また、プログラム自体は、x86コードとなっているため、ARMプロセッサなどではUWPカプセル化したアプリケーションを動かすことはできない。

 そこで、次のWindows 10 Fall Creators Updateでは、ARMプロセッサ上で、x86のエミュレーションを行い、既存のデスクトップ アプリケーションを動かそうとしている。さらに、Windows 10 Proとほぼ同じ機能(ドメイン参加など)を搭載しようとしている。つまり、ARM版Windows 10は、フル機能のWindows 10にx86エミュレーションを付け加えたものになる。なお、最初のバージョンから仮想化などの機能が用意されるかは不明だ。Microsoftの計画としては、最終的にWindows 10 Proと同じOSと機能をARM版Windows 10でも提供する予定としている。

ARM版Windows 10 ARM版Windows 10のデスクトップ画面。Windows 10 デスクトップエディション(Home/Pro/Enterprise)と全く同じ画面だ(Microsoftのセッションビデオから引用)
ARM版Windows 10 システム詳細を表示するとプロセッサがSnapdragon 835、メモリ4GB、OSが64ビット版ARMベースとなっている(Microsoftのセッションビデオから引用)
ドメイン参加機能 Windows RTやWindows 10 Mobileではサポートされていなかったドメイン参加の機能も、ARM版Windows 10は持っている(Microsoftのセッションビデオから引用)
Snapdragom 835 Snapdragon 835は、Little & Bigコアとして8コアを持っている。タスクマネージャーで確認すると8つのコアが表示されている(Microsoftのセッションビデオから引用)

 Microsoftでは、Windows 10と同じコードを使っているWindows Serverに関してもARM版を計画している。当面は、パブリッククラウドのAzureで利用するOSとして限定された機能が移植される予定だ(フルスタックのWindows Serverではない)。

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