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» 2017年10月03日 09時30分 公開

Oracle OpenWorld San Francisco 2017 Report:クラウドシフトを進める北米企業、「修正パッチに興味はない」とGapのCIO

Oracle OpenWorld San Francisco 2017が本格的な幕を開けた。基調講演にはマーク・ハードCEOが登場、クラウド移行によってビジネスの変革に挑むFedExやGapをステージに招き上げた。

[浅井英二,ITmedia]

 ラリー・エリソン会長兼CTOが登場したオープニングから一夜が明けた10月2日月曜日(米国時間)、Oracleの年次カンファレンス、「Oracle OpenWorld San Francisco 2017」は展示フロアもオープンし、本格的な幕を開けた。水曜日までの会期中、2300を超えるセッションがモスコーニセンターや近隣のホテルで行われる。

Oracleのマーク・ハードCEO

 この日の基調講演には、OracleでCEOを務めるマーク・ハード氏が登場、クラウドへの移行によってビジネスの変革を果敢に推進している企業リーダーたちを紹介し、その原動力となっているOracle Cloudを売り込んだ。同社では先行するAmazonを追い上げようとクラウド事業に軸足を移しつつあり、5月末に締めたOracleの2017会計年度では、クラウド事業の売り上げが新規ライセンスのそれを初めて上回るなど、着実に成果が上がり始めている。

 「マクロの視点では、GDPの成長率が鈍化し、企業の業績も芳しくない。それに伴い、IT予算が抑制される中、企業は同じアプリケーションを10年も20年もメンテナンスしながら使い続けざるを得ない。これではイノベーションは実現できない。2000年のフォーチュン500企業は既にその半分が姿を消している。ビデオレンタルのBlockbusterや書店のBordersはデジタルテクノロジーによって破綻に追い込まれた」とハード氏は話す。

 一昨年のOracle OpenWorld 2015で、彼はクラウドの未来予測を披露している。

  • 10年後の2025年には企業向けクラウドは最も安全なIT環境になる
  • 企業のアプリケーションの80%はクラウドで稼働する
  • 2社のSaaSスイートプロバイダーが企業のクラウドアプリケーション市場の80%を占めるようになる(Oracleはその1社)
  • 企業のデータもすべてがクラウドに移行する

 といった少し大胆な予測だったため、ソーシャルメディアではちょっとした炎上を経験する。

 「感動するほどマーク・ハードはクラウドが分かっていない、とツイートされたが、その後の調査データはわたしの未来予測に沿って推移してきている。クラウドシフトは現実なのだ」とハード氏。

クラウドで高信頼の物流サービスを目指すFedEx

FedExのクリス・ウッド副社長

 彼が顧客のトップバッターとしてステージに招き上げたのは、FedExのサービス変革担当副社長、クリス・ウッド氏だ。

 FedExは、北米の物流会社を買収したのをきっかけに、OracleのERPユーザーだったその子会社から順次クラウドへの移行を開始した。この6月には、傘下のオランダ物流大手のTNTがサイバー攻撃を受け、業務への大きな障害も経験し、イノベーションによってより信頼性の高い物流サービスを目指す取り組みを加速する。

 「社内のIT部門は、より価値の高い仕事へとシフトし、物流の幅を広げ、倉庫をはじめとする使い勝手の良いサービスの拡充を図っていきたい。OracleはFedExとって変革推進のパートナーだ」とウッド氏は話す。

 Amazonによって変革が進むリテール業界は、既存の事業者にとっては最もイノベーションが求められている業界のひとつだろう。アパレルでは、服のサイズや好みに関するアンケートを基にAIとパーソナルスタイリストがぴったりの服やアクセサリーを選んで宅配してくれるStich Fixのようなサービスも登場している。

Gapのポール・チャップマンCIO

 ハード氏がOracle OpenWorldのステージに招いたのは、GapでCIOを務めるポール・チャップマン氏だ。同社は、自社で製品を企画し、中国をはじめとするアジアなどに生産を委託、直営の店舗で販売する、いわゆる「製造小売業」(SPA)の草分けだ。Gapだけでなく、Old Navy、Banana Republicといった人気のブランドも傘下に持つ米国最大手のアパレル企業だ。

 「Stich Fixは脅威か? 店舗とオンラインを持つわれわれは、エクスペリエンスを大切に考え、イノベーションによってより良いものへと進化させようとしている。店舗にヨガ教室を開設するなどして、新たなエクスペリエンスを提供するとともに、得られた知見から顧客が本当に求めている商品を開発する取り組みも始めている」とチャップマン氏。

 同社ではクラウドへの移行によって長期的にITコストを引き下げ、それを原資として顧客体験の向上につながるITプロジェクトに力を注ぎたいと考えている。

 「わたしは服のパッチに関心はあるが、ソフトウェアの修正パッチに興味はない」とチャップマン氏は笑う。

(取材協力:日本オラクル)

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