「AIによって人の仕事は消える以上に新たな仕事が創出される」――。米Gartnerがこんな予測を打ち出した。その根拠とは。
「2020年、AI(人工知能)は正味の新規職業を生み出す明確な要素となる。AIによって消える仕事が180万件であるのに対して、230万件が創出される」――。米Gartnerは先頃発表した予測レポート「Gartner Predicts 2018」の中でこう明言した。
同レポートは、Gartnerが企業のIT部門およびユーザーに対して今後影響を与える重要な展望を示したもので、毎年この時期に「トップ10」としてまとめている。冒頭の一文は、その一項目である。
この予測レポートに関し、Gartnerの日本法人であるガートナージャパンが10月31日から3日間、都内ホテルで開催したカンファレンスイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2017」に伴って来日したバイスプレジデント兼最上級アナリストのデイヴィッド・ウィリス氏が記者説明会を開いた。
まず、今回の予測レポートのトップ10について、ウィリス氏が要点だけ挙げた表を示したので掲載しておく(表1)。それぞれの内容については関連記事を参照いただきたい。ちなみに、冒頭の一文は表1の下段の中央に記されている。また、この一文についてGartnerは次のように説明している。
「2019年にかけては、AIが生む仕事よりもAIによって消える仕事が多くなるが、2020年にはこの不足分を補って余りある数の仕事をAIが創出すると、Gartnerは確信している。創出される仕事と消える仕事の正味の数は業界ごとに大きく異なり、全体として仕事が減る業界もあれば、数年間だけ仕事が減る業界もあるだろう。また、医療や教育といった一部の業界では、仕事がなくなることはないだろう。AIは多くの仕事の生産性を高めるとともに、創造的に活用することで、人々のキャリアの質を高め、従来のタスクを見直し、新たな業種を生み出す可能性がある」
この説明からすると、どうやら「AIを創造的に活用すること」が大事なポイントのようだが、仕事の増減は「業界ごとに大きく異なる」のも気になるところである。
ウィリス氏はさらに、今回のトップ10には入っていない予測として、「2021年には、AIによって2兆9000億ドル規模の経済価値と62億時間相当の労働生産性が生み出される」とも明言した。同氏によると、こちらは「人の仕事をAIが補完した形」で生まれる効果だという。
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