構想7年、「Azure Stack」の本格展開でMicrosoftのクラウド戦略はどう変わるのかWeekly Memo(1/2 ページ)

Microsoftが、自社パブリッククラウドの機能をオンプレミスで利用できる「Azure Stack」を日本で本格展開し始めた。実は、この新製品が実現するまでには、およそ7年にわたるシナリオがある。本コラムの記録を基にそれを解き明かしたい。

» 2017年12月04日 13時30分 公開
[松岡功ITmedia]

日本で本格展開し始めた「Azure Stack」の特徴

Photo 会見に臨む日本マイクロソフトの浅野智 業務執行役員クラウド&エンタープライズビジネス本部長

 「まさしくクラウドとオンプレミスの“いいとこ取り”をした製品だ」――。日本マイクロソフトが先頃開いた「Microsoft Azure Stackに関する日本での取り組み」と題した記者説明会で、同社の浅野智 業務執行役員クラウド&エンタープライズビジネス本部長はこう力を込めた。

 Azure Stackは、Microsoftのパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」の機能をユーザーがオンプレミスで利用できるようにしたハイブリッドクラウド対応の基盤ソフトウェアである。

 具体的には、AzureのIaaSおよびPaaSの機能、ネットワークコントローラやストレージコントローラ、ロードバランスなどのサービス群をオンプレミス環境で利用できる形だ。MicrosoftではAzure StackをAzureの「拡張機能」と位置付けている。(図1)

Photo 図1 Azure Stackの位置付け

 主な特徴は4つ。1つ目は「共通のID」。Microsoftの「Active Directory」とシームレスに連携してシングルサインオンが可能だ。2つ目は「統合された管理とセキュリティ」。これにより、インフラ全体を可視化できるようになる。3つ目は「一貫性のあるデータプラットフォーム」。データベースをシームレスに連携可能だ。

 そして、4つ目として浅野氏が一段と声高に語ったのが「統合された開発とDevOps」。クラウドとオンプレミスによる統合開発環境でアプリケーションを構築できることを挙げ、「これはハイパーコンバージドシステムだとできない業だ」と強調した。

 Azure Stack対応ハードウェアは、デルおよびEMCジャパン、日本ヒューレット・パッカード、レノボ・ジャパンが9月から出荷しており、シスコシステムズ、アバナード、ファーウェイ・テクノロジーズ・ジャパンも順次提供していく予定だ。(図2)

Photo 図2 Azure Stack対応ハードウェアを提供するベンダー

 なお、Azure Stackのユースケースや対応パートナーであるソフトウェアベンダー(ISV)15社、マネージドプロバイダー4社、システムインテグレータ21社のリストについては、浅野氏によるMicrosoftの公式ブログをご覧いただきたい。

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