Windows 10におけるOS展開の新技術「プロビジョニング」。うまく使いこなせば大きなメリットがあるものの、まだまだ課題が多いのも事実。今回はその課題を乗り越え、企業で活用するための現実的な方法をご紹介します。
こんにちは。横河レンタ・リースで、ソフトウェアの製品開発を担当している松尾太輔です。
Windows 10がこれまでのOSと最も異なる点は、半年ごとに大型アップデートが行われ、古いバージョンはリリースから18カ月でサポート切れになってしまうという点です。このスケジュールにどう対応し、運用していくか。これは、情シス担当者にとって大きな負荷になる可能性があるでしょう。
第3回では、その際に有効なOS展開の方法として「プロビジョニング」をご紹介しました。機種に依存しない形で構成情報(OSの設定やアプリケーションのインストール情報)をパッケージ化できるため、マスター再作成の労力を減らせるというメリットがありますが、一方で「インストール完了まで時間がかかる」「インストールできないアプリもある」といった課題もあります。
今回は、これらの課題を解決し、プロビジョニングパッケージを企業で運用する“現実的な方法”を考えていきます。
アップデートサイクルが短く、これまでとはPCの運用を変える必要が出てくることから、デメリットが強調されることが多いWindows 10ですが、常に最新の技術を使って生産性を向上しつつ、多様な働き方に対応できるようになるというメリットもあるのも事実です。
そのメリットを生かすためには「PCは物理的な制約を可能な限り少なくするべき」だと私は考えています。マスターイメージをコピーする「クローニング」は、コピー元のPCとコピー先のPCが同じ場所になければならない――すなわち、物理的な制約が極めて強いのです。これが、企業のPC環境を画一的で柔軟性のないものにしていたといっても過言ではありません。
それに対して、プロビジョニングパッケージという技術は、物理PCとOSから「環境とアプリケーション」という情報を切り離して外部化することで、ユーザー中心の柔軟な環境を提供することを目的にしています。そして、ここにPCの運用自体も楽になるポイントも隠されているのです。そのための運用方法を3つご紹介します。
プロビジョニングパッケージによるPCのセットアップに必要なのは、時間とPCを稼働させるスペースと電源だけです。個々の企業が、半年ごとのアップデートのためにそれらの設備を保有するのはコスト的に見合わないかもしれません。
そんなときは外部委託してしまうのが手です。専門の会社であれば、セットアップのための設備を持っています。例えば弊社では、神奈川県相模原市に「橋本テック」というPC専門の工場のようなテクニカルセンターがあります。作業はほぼ自動で行われるため、委託するに当たって、手順書を作るような手間もありません。委託先でも多くの人手は要らないでしょう。
当社は対応していますが、作業を委託するに当たっては、プロビジョニングパッケージによるOS展開が可能かどうかを確認するとよいでしょう。そういった企業はまだ少ないかもしれませんが、今後は増えていくと思われます。
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