ダイバーシティーが叫ばれる昨今、会社側が「女性管理職の起用」を推進する一方で、自ら管理職になることを迷う女性も多く、キャリアインデックスの調査では、約9割が「管理職になりたくない」と回答しているほどだ。しかし小椋さんは、成し遂げたいことがあるなら、マネジャーという立場には大きな価値があると話す。
「私のビジョンは10年前の課長時代から全く変わっていません。ずっと自分が思うことを言ってきましたが、4年前に部門長になってからは、皆に声が届きやすくなったと感じています。もちろん、課長時代も含めて積み重ねてきたことや、環境の変化も影響しているとは思います。でも、組織が力を発揮するには“皆のベクトルがしっかり合っていること”が重要で、そのベクトルを合わせる権限や権利を持っているという意味で、マネジャーという職位に就くことにはとても価値があると思うのです」(小椋さん)
管理職としてではなく、組織のメンバーとして「現状を変えたい」と思っている人は、どうしたらよいだろうか?
「情報システム部門にいて、新しいことをやりたいけれどチャンスがないというときは、まず目に見えるものを作ってみるのが重要です。いくら口でコンセプトを伝えても理解されないことがあると思いますが、出来としては80%でもいいから動くものを見せると、『悪くないかも』と感じてもらえる可能性があります。例えば、他の部門の人と組んで自主研究のような形で新しいシステムのデモを作り、双方の上司に見せてみる。そうすると『いいね、やってみようか』となったりすることもあるでしょう。そういう方法が変化を起こす近道だと思います」(小椋さん)
また女性の場合、子育てなどの事情があって仕事に全力投球できないことに悩んでいる人も多いが、小椋さんは自身の経験からこんなエールを送る。
「私は若くして子育てを始めた分、周りに比べて順調にステップアップできず、焦ることもありました。でも、社会人人生はマラソンのようなもの。少し停滞期があっても、それがずっと続くわけではないんです。後から考えると、早いうちに苦労を経験して腹が据わったのはむしろ良かったと思うのです。今、子育て中で時間的な制約がある人は、あまり近視眼的に物事を判断せず、しぶとく生きてほしいですね。自分の力で変えようがないことで悩んでも仕方ないので、自分で何とかできることを考え、実行することです」(小椋さん)
【聞き手:後藤祥子、やつづかえり】
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