「勝負は1、2年」――NEC社長、“創業119年目の大改革”に挑む「不退転の覚悟」Weekly Memo(1/2 ページ)

長らく厳しい経営状況が続くNECが今、「創業119年目の大改革」に取り組んでいる。改革に対する意欲や覚悟はいかなるものか。新野社長に筆者なりの視点で聞いてみた。

» 2018年08月27日 12時00分 公開
[松岡功ITmedia]

エンタープライズ分野は堅守すべき足元の事業

 「人員削減に踏み込むNECは成長軌道に回帰できるか―― こう題した2018年2月5日掲載の本コラムで、2018年度(2019年3月期)からスタートした新中期経営計画(新中計)のもとで一大改革に乗り出したNECの取り組みを解説した。

 そして5カ月ほどたった今、その改革の先頭に立つ新野隆社長に先週、取材する機会を得たので、筆者なりの視点で取り組みに対する意欲や手応え、覚悟のほどを聞いた。

―― まず、現時点での改革に対する意欲と手応えをお聞かせいただきたい。

新野氏 新中計では経営方針として「収益構造の改革」「成長の実現」「実行力の改革」の3つを掲げているが、中でも最も重要なのは実行力の改革だ。

 企業文化の制度や仕組みから抜本的に変革し、社員の力を最大限に引き出すことで、強いNECを取り戻したい。とりわけ、2018年は創業119年目の大改革として、これまでの当たり前を捨て、本当に必要なものをいかに強くしていくかということに徹底的に取り組んでいく。

 改革の進捗(しんちょく)については、現時点で予定通りの手応えを感じている。本当に実績を上げられるのかという懐疑的な見方があるかもしれないが、何としてもやり抜いていく決意だ。

Photo NECの新野隆 代表取締役 執行役員社長 兼 最高経営責任者(CEO)

―― 新中計ではグローバル事業を今後の成長の柱としているが、一方で、国内のエンタープライズ事業が手薄になることはないか。

新野氏 ない。エンタープライズ分野はNECが長年にわたって継続してきた堅守すべき足元の事業だ。現在は活況なSI分野でエンジニア争奪戦のような状況になっているが、その対処をはじめ、クラウド化、そしてデジタル変革へのニーズにもしっかりとお応えしていけるようにしたい。

―― 改革の一環として、グローバル事業の責任者をはじめ、要所に外部の人材を迎え入れたが、拒否反応はないか。

新野氏 最初は心配したところもあるが、現時点ではおおむね、うまくいっている。外部から人材を迎え入れたのは、頭で考えてばかりで実行が伴わない、新たな動きに踏み出せないといった社員の体質をはじめとした企業文化を変えていかなければいけないと考えたからだ。

 そのためには自前主義を捨てて取り組む必要がある。とはいえ、企業文化は、外部から人材を迎え入れれば、すぐに変わるものではない。従って、まずは企業文化を変えていくために必要な仕掛けや仕組みをつくっていきたいと考えている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ