「勝負は1、2年」――NEC社長、“創業119年目の大改革”に挑む「不退転の覚悟」Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2018年08月27日 12時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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マネジメントスタイルの根本的な変革へ

―― そうした社員の体質は、多くの日本人に共通しているようにも見受けられるが、NEC独自の部分があるとすればどこか。

新野氏 確かに日本人として共通しているところが多いと思うが、その中でもNECの社員はまじめで言われたことを一生懸命やるものの、自らがとがって何かやってやろうという人の割合が小さいと感じている。その理由として挙げられるのは、営業もエンジニアもお客さまの要望に対して一生懸命に応えることを生業にしてきたからではないか。

 これまではそれでもよかったが、今や時代が変わって、強い技術を持ち、こちらからさまざまな提案を行ってお客さまとともに考えながら新しい市場を創っていくようなパワーが必要だ。そのパワーの原動力になるとがった人材が、いわば“出る杭を打たれる”形になってしまっていたのではないかと考えている。

―― 社員というよりも組織の体質の問題だと。

新野氏 マネジメントにおいて、これまでNECでは、チーム組織の大きさに関わらず、その分野で最も実績を上げてきた“その道のプロ”が、チームリーダーになるの当たり前だった。しかし、それではチームのみんながそのリーダーの言う通りに動くようになり、言うことを聞かなければ外されるようになる。

 このマネジメントスタイルを根本的に変えていく必要がある。その道のプロは専門職として引き続き腕を振るってもらうとして、チームリーダーにはそのチームの力を最大化できる人を据えないと、これからのNECの発展はないとさえ考えている。そのためのマネジメント力を持った人材をどう育成していくか。組織や人事制度の在り方の見直しを含めて取り組んでいきたい。

―― 新野社長ご自身はトップマネジメントとして、NECの改革をやりきることができる適任者だとお考えか。

新野氏 もちろん、できると思っている。その根拠は、今回改革を進めているさまざまな取り組みは、私が以前から強い問題意識を抱いてきた内容ばかりだからだ。その問題意識と、それらを何とかしなければならないという思いは、社内で誰よりも強い。そして、NECをどのように改革すればよいかということも、誰よりも深く考えているつもりだ。

 「創業119年目の大改革」とぶち上げているが、勝負はこの1、2年だと思っている。スピード感を持って徹底的に進めていく所存だ。

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 取材後感を少々。新中計の内容をめぐる新野氏のインタビュー記事はすでにさまざまなメディアで見受けられるので、筆者はもう少し根本的なマネジメントの話を聞いてみた。多くの読者にも共通する話を意識して取材したつもりだ。

 今回のインタビューでは、特に最後の「ご自身はリーダーとして適任か」との質問に対し、答える声に力が一層こもったのが印象的だった。改革への情熱が強く伝わってきた一方、「勝負は1、2年」との言葉に不退転の覚悟を感じた取材だった。

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