いないなら育ててみよう、セキュリティ人材 シスコの「学生向け人材育成プログラム」の中身(1/2 ページ)

シスコシステムズが、サイバーセキュリティ人材育成を目指して2017年4月から実施してきた「サイバーセキュリティ スカラシップ プログラム」の模様を公開した。

» 2018年09月25日 07時00分 公開
[高橋睦美ITmedia]
Photo シスコシステムズ マーケティング本部の山中朋子氏

 2017年4月から、サイバーセキュリティ人材育成を目指した「サイバーセキュリティ スカラシップ プログラム」を実施しているシスコシステムズが、プログラムの模様を報道陣向けに公開した。

 シスコシステムズでは製品、テクノロジー面でのセキュリティ強化に加え、情報通信研究機構(NICT)やJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)といったさまざまな組織との連携や技術標準化など、さまざまな側面からサイバーセキュリティの強化に取り組んできた。その柱の1つがセキュリティ人材の育成だ。

 サイバーセキュリティ スカラシップ プログラムでは、体系的な学習プログラムを通じて将来の情報セキュリティ人材を育成することを目的に、オンライン学習やハンズオン形式の研修を実施。大学生や専門学校生、高専生を対象に無償でプログラムを提供し、優秀な成績を収めた学生にはインターンシップの機会を提供するほか、広くIT業界で活躍してもらうためのキャリアサポートも実施する。

 また「学生に教えることのできるインストラクターや教師の育成も目的の1つ」(シスコシステムズ マーケティング本部 東京2020オリンピック・パラリンピック マーケティングマネジャー、山中朋子氏)としており、継続的な人材育成の基盤作りを進めるという。

 このプログラムは、2020年の東京オリンピックの開催後も残るレガシー(遺産)の形成という意味合いから「東京2020 公認プログラム」として認証されている。

3つのステップに分けてカリキュラムを提供、大学・高専との連携も

 サイバーセキュリティ スカラシップ プログラムでは、2020年までに2000人の育成を目指して、3つのステップに分けてプログラムを実施する。

 「入門編」では、ITやサイバーセキュリティの基礎知識を身に付けることを狙い、「Introduction to Cybersecurity」と「Cybersecurity Essentials」という2つのオンラインコースを提供する。その知識を前提にして実施する「基礎編」では、ハンズオンと座学を組み合わせ、さまざまな攻撃方法と検知・防御手法を学ぶ5日間の教育プログラム「CCNA Cyber Ops」を通し、Security Operation Center(SOC)のジュニアエンジニア相当のスキルを身に付けることを目指す。

 ここで優秀な成績を収めた学生には、シスコシステムズの海外拠点やパートナー企業でのインターンシップを提供し、実務の中でセキュリティに関するスキルがどのように生かされているかを体験できるようになっている。

 シスコシステムズによると、既にのべ160校、1000人を超える学生がオンラインコースを受講し、約70人がCCNA Cyber Opsを受講した。またインターンシップに関しては、ネットワンシステムズで4日間のインターンシップに4人が参加しているほか、9月下旬には米ノースカロライナに置かれたシスコシステムズのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)でのOJT(On-the-Job Training:現任訓練)に2人の学生が参加する予定という。

 シスコシステムズはまた、同プログラムを大学や高等専門学校のカリキュラムとして活用してもらうべく、教育機関との連携を進めている。大学生向けの演習「enPiT」の認定校と連携し、短期集中講義の形でトレーニングを実施するほか、2018月10月からは、3つの高等専門学校でCCNA Cyber Opsを授業として活用する計画だ。

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