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» 2018年10月19日 07時00分 公開

必要なシステムは、業務部門がその場で作る:月250時間の残業がゼロに G Suiteで生まれ変わったヤッホーブルーイングの働き方 (1/2)

スーパーやコンビニで人気の「よなよなエール」を製造するヤッホーブルーイング。今では現場で必要なシステムを社員がその場で作るなど、業務の自動化を進めているが、数年前は現場の在庫カウントが煩雑化し、社員が長時間残業する状況に悩まされていた。

[高木理紗,ITmedia]
photos ヤッホーブルーイングの情報システムユニットでディレクターを務める木村壮さん

 コンビニエンスストアやスーパーで販売されている「よなよなエール」などのビールを製造するヤッホーブルーイング。長野県を拠点とし、ビールの醸造だけでなく、オンライン販売やファンとの交流イベントを活発に行う同社では、基本的な業務のほとんどをクラウドに移行し、効率化を進めている。

 一方、数年前までは、月に250時間もの残業が発生する状況に悩まされていた。同社の情報システムユニットでディレクターを務める木村壮さんは、その理由が「在庫管理」にあったと話す。

 「ヤッホーブルーイングでは、酒税法に従い、1ミリリットル単位の厳しいビールの管理が義務付けられているため、例えば、複数の倉庫に散らばる特定の製造ロットのビールが何缶あるか、常に正確に見る必要があります。また、1日の終わりに出荷現場と受注現場側で在庫の数字を突き合わせて確認するのですが、以前はそれが合わないことが多く、深夜までひたすら数え直しを繰り返していました」(木村さん)

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 疲弊する現場に解決策が必要と考えた同社では、「受注現場と出荷現場が別々の数字を見ている」という事実に注目した。

 受注現場では、日々の売上を基に基幹システムがはじき出した理論在庫をExcelで見ていた一方、出荷現場では、現場でカウントした在庫数を紙に記録し、FAXで受注現場に送っていた。これでは、数字が合わなかった際、問い合わせや数え直しなどの作業のロスが膨らんでしまう――。

クラウド上の“お手製システム”で、250時間あった残業時間をゼロに

 「何とかして、全員が同じデータを同時に見られる仕組みを作れないだろうか」と、同社が考え出したのが、Googleの「G Suite」を導入し、今まで使っていたExcelの関数がそのまま使える「Google スプレッドシート」で自社用の在庫管理システムを作って、各現場から共同でリアルタイムに編集できるようにする、という方法だった。

 こうして2014年頃にできたのが、ヤッホーブルーイング製の在庫管理システム「在庫一発君」だ。導入した結果、受注現場では出荷現場からの数字を待たずに基幹システムから出力したデータを新システムに入力し、出荷現場では、受注現場側からの数字をいつでも確認でき、数字のずれがあった場合はその場で再カウントや問い合わせ、質問事項の共有などが行えるようになった。

photophoto (左)「在庫一発君」、(右)「在庫一発君」を使ってリアルタイムでデータを確認する仕組み

 「お互いの作業を待つ必要がなくなったことで、在庫のチェックやカウントが迅速になりました。何より、在庫チェックに携わる社員がリアルタイムで同じデータを見られるようになったことで、互いのコミュニケーションが円滑になりましたね」(木村さん)

 ヤッホーブルーイングでは、在庫カウントにかけていた時間が短くなったことで、それまで月に250時間程度発生していた残業時間をゼロにし、作業に関わっていた社員が定時に帰れるようになったという。

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