道で野良犬に出会ったとき、「かまれるかも」と思った経験はありませんか? しかし、飼い主がいないため、かまれたときに治療代を請求する相手はいません。そもそも、かまれると痛いし、イヤですよね。
野良ロボットも同様で、利用者の退職や異動で、誰にも引き継がれていない――つまり“飼い主”のいないロボットがあり、かつそれが自動で業務を行っているとすれば、それは問題です。その実行に対して誰も責任が持てませんし、誰も面倒を見ていないことで、ある日誤作動を起こして、業務に支障が出るかもしれません。
それでは犬の話に戻り、これが飼い犬の場合はどうでしょうか。先に説明した通り、飼い犬は法律で登録が義務付けられており、狂犬病予防の注射を受ける必要もあります。登録され、注射を受けた犬には鑑札と注射済票が交付され、飼い犬に装着する義務があるのです。
狂犬病の予防注射は年に必ず1回受けるよう定められています。こうした法律やルールが徹底されることで、世の中で安全に犬を飼う仕組みが出来上がっているのです。
さて、ここで冒頭のお話を思い出してください。野良犬ができるからと言って、全ての犬が危険ではないのと同じように、野良ロボットができるからといって、全てのロボットが危険なわけではありません。
法律ができて、守られることで安全に犬を飼い、野良犬を見かけなくなったのと同じように、ロボットだって取り扱うルールを決め、それを守ることで安全にロボットを使い、野良ロボットの発生を防ぐことができます。
自分の飼い犬が生んだ犬であろうが、ブリーダーから譲り受けた犬であろうが、ルールは一律に適用されるわけで、「誰がロボットを作るか」によって、それが危険かどうかを判断するのは全くナンセンスです。
裏を返せば、ロボットを作って業務で使用するには「ルール」が重要であることが分かります。私自身は、今回挙げた狂犬病予防法の内容を、そっくりそのままロボットに読み替えて考えれば分かりやすいのではないかと思っています。新しい取り組みといわれているRPAに、半世紀以上前にできたルールが役に立つなんて面白くありませんか? 後編ではその具体的な内容に踏み込んでいきたいと思います。お楽しみに。
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