Oracle Digitalを率いるのは、IaaSとPaaSの領域を担当する本多氏と、SaaSとデジタル変革提案を担当する善浪広行 執行役員クラウド・アプリケーション事業統括オラクル・デジタル本部長だ。
善浪氏は、現在およそ300人の陣容というOracle Digitalの活動の手応えについて、「新しい会社を立ち上げたつもりで、社員もこの仕事に意欲とスキルのある若手人材を積極的に採用している。組織を立ち上げておよそ1年半になるが、お客さまからは非常に強い手応えを感じている。お客さまとは最新技術を駆使してリモートでやりとりする形だが、個別の経営課題に真摯に向き合って課題解決を支援していくことを重視している。そうした面で全国のお客さまに一層アプローチできるように、人材増強とともにさらなる組織強化に努めていきたい」と話した。
また、本多氏も「中堅企業では既にOracle Daeabaseを使用しているケースが少なくないので、引き続き最新版をクラウドで利用していただけるように提案したい。スタートアップや新規のお客さまに対しては、IaaSを中心とした営業活動に注力していきたい」と意欲のほどを語った。
一方、この会見からは、中堅・中小企業のIT活用における課題も浮き彫りになった。筆者がそう感じたのは、本多氏と善浪氏による次の説明である。
「これまでお客さまのニーズをお聞きしてきて痛感しているのは、人手不足。データベースの活用にしてもデジタル変革への取り組みにしても、人手が足りなくてなかなか手をつけられないとの切実な声を数多く聞いた。そうした点で、多くのお客さまの関心が高いと感じたのは、データベースの最新版であるOracle Autonomous Databaseだ。運用を自動化できる自律型データベースが人手不足にどれだけ効果的なのか聞きたい、とのご要望がここにきて増えている」(本多氏)
「先ほどお客さまの経営課題に真摯に向き合って課題解決を支援していくことを重視しているとお話ししたが、人手不足はまさにどのお客さまにとっても喫緊の経営課題となっている。Oracle Digitalではそうしたお客さまの声に対し、単にクラウドサービスを提供するだけでなく、それを使って人手不足にどう対応していけるかを、お客さまとともに考えていきたい。要は、お客さまの“お困り事”に真摯に対応していくことがOracle Digitalの価値を高めることになる」(善浪氏)
両氏のコメントから、中堅・中小企業のIT活用は、人手不足が喫緊の課題なのは明白だ。そこへ直接の営業アプローチを行うのは、その課題に向き合うということだ。日本オラクルにとって、中堅・中小企業向けクラウド事業は、いわば新規顧客の開拓でもある。そう捉えると、Oracle Digitalは、同社にとってのデジタル変革へのチャレンジともいえそうだ。
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