英Vodafone Groupとソフトバンクは3月17日、同社日本法人であるボーダフォンのソフトバンクへの買収に合意したと発表した。97.68%の株式を譲渡する。買収金額は89億ポンド(約1兆7500億円)。
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ソフトバンクにとって今回の買収は、“時間を金で買う”という意味合いが大きい。携帯事業への新規参入を計画している同社にとって、既にある2Gや3Gのインフラ、サービス、ブランドを手に入れることは迅速な事業展開のための大きな助けになる。また携帯電話業界では、FMC(Fixed Mobile Convergence)の流れが加速しており、これが既にADSLやFTTH事業で一定の成果を上げているソフトバンクにとっての追い風になるとも予想される。
一方の英Vodafoneは携帯電話事業が不調で、2007年3月期の業績見通しを下方修正するとともに、不振が続く海外事業を手放すことも検討していると報じられていた。
会場での一問一答は以下の通り。
――ボーダフォンを買収したことで既存事業者になったが、“新規事業者として”免許を割り当てあられた1.7GHz帯は返上するのか。
孫氏 今後、我々が新規事業者の側面を残すか、既存事業者と位置づけられるか総務省とも相談しながら考えたい。
ただ「新規事業者でないから」という理由で返上する必要があるなら、我々は既存事業者としてのイコールフッティング(対等な競争条件)を要求していくことになる。以前も議論があったように、800MHz帯のような浸透率が高い電波を我々は持っていない。ドコモやauと比べて、この後高速データサービスを展開していくのに十分な帯域を持っているのかどうか。よくよく議論していきたい。
――ボーダフォンの経営陣は続投するのか。それとも新たな役員がソフトバンクから送り込まれるのか。
孫氏 買収できるかどうか、今日まで交渉していたところ。新しい経営体制についてはこれから検討する。
――ボーダフォンの端末は、今後どう変わるのか。
孫氏 端末は、それぞれ独立したメーカーから調達するということで変わりはない。ただテクノロジーであるとか、使い方はこれから強化したい。
――ボーダフォンを買収する背景には、新規参入では端末供給に不安があったからという見方があるが。
孫氏 新規参入事業者の場合、最初はユーザーの絶対数が少ないため、端末を作ってもらうのもなかなか難しい。しかし、ボーダフォンの買収により我々は1500万人のユーザーを得た。これだけの数であれば、端末メーカーとも交渉しやすいというのは確かにある。
――日本以外の国でも携帯電話事業を展開していく計画はあるのか。
孫氏 直接他の国でインフラを構築するような事業を行う可能性については、否定はしないがあまり現実的ではない。現時点では、ソフトバンクはVodafoneグループと提携し、5億人のVodafoneユーザーに向けてさまざまなデータサービスを提供することを考えている。2社が提携すれば、コンテンツサービスやアプリケーションをより大きくより早く展開できる。
――子会社を作って買収するのはなぜか。
孫氏 単なる手続き上の問題で、戦略的な深い意味はない。ソフトバンクにはすでにBBモバイルという会社があり、ここが1.7GHz帯の周波数を獲得した。BBモバイルには人員も、技術者も多数いて、携帯電話に関する企画を進めているところだ。そのチームがそのままボーダフォンを所有するのが一番自然な形だと考えている。
――Vodafoneは他社からの買収提案についても検討したのか。
モロー氏 もちろん検討した。ボーダフォンの持つ価値と、ソフトバンクからのオファーなどを総合的に判断し、最終的にVodafoneは孫さんと一緒にやっていくことを選択した。
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