800MHz帯はどこが優位なのか?

» 2004年11月04日 21時49分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「800MHz帯(の新規事業者割当は)は検討に値しない、というコメントが総務省からあったが、これを完全撤回して頂きたい。(周波数は)国民の共有資産であり、ここを聖域化するのは大きな制限」

 11月4日に行われた携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会で(11月4日の記事参照)、ソフトバンクBBの孫正義社長は改めて800MHz帯への熱意を見せた。

 同社は、携帯事業新規参入に当たり、ドコモとKDDIが使う800MHz帯と、新規割当分の1.7GHz帯のマルチバンドを要望。800MHz帯を基本、1.7GHz帯を補助としたインフラを想定している。「免許後、すぐに設備投資を始め、2年で音声のサービスを全国レベルで行う」と孫氏。

 800MHz帯について総務省や既存キャリアは、“あくまで上り下りの周波数の調整であって新規を割り当てるための再編ではない”というスタンスだが、ソフトバンクBBは行政訴訟まで起こすなど(10月13日の記事参照)、あくまで800MHz帯にこだわる。その理由はなにか。

800MHz→2GHz、インフラコストは1.4倍に

 電波は空中を伝わって途中で弱くなっていく。この伝搬損失は、距離が離れるほど、また周波数が高いほど大きくなる。

周波数 伝搬損失(dB) セル半径(Km) 最大局数差
800MHz 0 2.0 1
1.5GHz 7.1 1.2 2.8
1.7GHz 8.5 1.1 3.3
2GHz 10.5 1.0 4.0
2.5GHz 12.9 0.8 6.25
アイピーモバイル資料より。800MHzで展開した場合との比較

 結果、高い周波数になるほど、1つの基地局でカバーできるエリアが狭くなり、同じ面積をカバーするには必要な基地局数が増える。ソフトバンクは、800MHzと2GHzを比べて基地局数は約1.6倍になるとしており、投資費用は、1.2〜1.4倍に増大するとしている。「800MHz帯はほかよりも利用効率がいい」(孫氏)というわけだ。

 1.7GHz帯に名乗りを上げているイー・アクセスも、「もし800MHz帯がオープンになれば、当然名乗りを挙げる」(千本倖生社長)と話すなど、使いやすい周波数であることは間違いない。

 実際に1.5GHz帯で2Gを展開したボーダフォンも、「800MHz帯のほうがコスト効率がいい」(ボーダフォンの五十嵐氏善夫経営企画本部長)と話す。

 ただし、たくさんの基地局が設置されている都市部では、遠くまで届くという800MHzのメリットは少ない。最初から1つの基地局がカバーするエリアが狭いからだ。「都市部ではあまり関係ない」(KDDIの小野寺正社長)。

 ドコモは800MHz/2GHzのデュアルモード対応FOMAを予定しているが(10月6日の記事参照)、800MHzのFOMA基地局を地方にのみ設置しているのは、こんな理由による。

 また、800MHzをドコモとKDDIに再び利用されることも、ソフトバンクBBは恐れているようだ。「3G展開で最も効率がいい800MHzを上位2社に(再び)割り当てれば、ますます寡占化が進む可能性が高い。上位2社が国民の資産を不当に使い続けることになる。特にドコモは、(独占企業である)電電公社時代に800MH帯を割り当てられている」(孫氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月14日 更新
  1. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  2. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  3. Apple、「HomePod mini」に新色「ミッドナイト」追加 実はスペースグレイとの違いアリ (2024年07月16日)
  4. 7型ディスプレイ搭載「Apple HomeView」発表 Siri AIと顔識別で家族全員に「欲しい情報」を届ける (2026年10月13日)
  5. 個人情報の流出にユーザーはどう備える? 乗っ取りやクレカ不正利用を防ぐ「3段階」の対策ガイド (2026年10月12日)
  6. 楽天モバイル、KDDIローミングが大幅に縮小――ユーザーに対する説明責任はないのか (2026年10月11日)
  7. Google、画面付きトラッカー「Google Fitbit Edge」発表 日本では2万6800円で予約開始 バッテリー交換にも対応 (2026年10月13日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. ファーウェイはなぜ「24時間測り続けること」にこだわるのか ウェアラブル開発責任者が語る医療機器との違い (2026年10月13日)
  10. ソフトバンクの「iPhone Duo」は一括42万9760円、2年23万9760円から 18 Proよりも免除額は控えめ (2026年10月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー