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» 2000年07月01日 00時00分 UPDATE

どのディストリビューションを選んだらよいのか分からない

[木田佳克,ITmedia]

 現在,Linuxにはさまざまなディストリビューションがある。それぞれには特徴があるため,見極めてから自分が求めているものを使いたい。ここでは,種類と特徴を挙げてみた。

名 称 特    徴 動作環境
Slackware Patric Volkerding氏が中心となって開発されているディストリビューション(米Walnut Creek)。大きな特徴は,BSD UNIXに近いシステム構成という点だ。設定ファイルを直接編集する必要がある点や,パッケージがtar+gz形式での配布など,現在主流のディストリビューションとは異なる部分が多く,Red Hatなどと比べると慣れを必要とする。現在の最新バージョンは7.0となっている(2000年7月現在) PC/AT互換機
Turbo Linux ターボリナックス ジャパンが手がけるディストリビューション。日本語版Linuxとして老舗であり,Vine Linuxと並び細部の日本語化が特徴だ。ベースとなっているのはRed Hat Linuxで,RPMのパッケージインストールなどが特徴になってる。一部,独自のコマンド形態が目立つがユーザーの多いディストリビューションである。商用パッケージには,TrueTypeフォントをはじめ,日本語入力システムのATOK12SE,Wnn6 Ver 3.0などが同梱されている。現在のバージョンは4.2。別パッケージでサーバに特化されたバージョン「TurboLinux Server日本語版6.1」も用意されている PC/AT互換機
Plamo Linux こじまみつひろ氏が中心となり,ノートパソコンをメイン動作環境として展開しているディストリビューション。いち早くpcmcia-cs(PCカード環境パッケージ)の最新バージョンを収録したり,フロッピードライブのない環境でもRAMDISKを利用してインストールできるなど,細やかな配慮が目立つ。ベースとなっているのはSlackwareであり,現在のバージョンは1.4だ(2000年7月現在) PC/AT互換機,PC-98シリーズ
Rad Hat Linux 米Red Hat Softwareが手がけるデファクトスタンダードといえるディストリビューション。大きな特徴としては,RPMを採用し,手軽にパッケージのインストールなどができるよう配慮されている点だ。またバージョン6.1以降では,グラフィカルなインストーラを備えるなど,Linux特有とされる従来までの馴染みにくさを解消している。現在のバージョン6.2(2000年7月現在)では,Windowsのファイルシステム(FAT16/32)上にもインストールが可能になっている PC/AT互換機
LASER5 Linux Red Hat Linuxを基にレーザーファイブが手がけているディストリビューション。名称変更する前は,redhat LinuxとしてRad Hat Linuxの日本語版として有名だった。このため基本的には,Red Hat Linuxと同等である。市販パッケージには,20種類以上の商用アプリケーションを同梱している。かな漢字変換システムにATOK12SE,Wnn6 Ver 3.0をバンドルし日本語環境の充実を図っている。ほかにもhttpサーバ「Roxen Challenger」,3Dレンダリングソフト「BLENDER」などを収録している。現在のバージョンは,6.0である(2000年7月現在) PC/AT互換機
Vine Linux Project Vineが手がけるディストリビューション。インストーラはもちろん,コマンドヘルプ(man)に至るところまでしっかりと日本語化されている。さらにほかのディストリビューションと異なる点として,「Vmail」(メーラ),「Vedit」(エディタ)を採用し,Windows環境と似た手軽に使えるツールを同梱している点だ。商用パッケージも用意されており,TrueTypeフォント(ダイナラブ5書体),マニュアル,ユーザサポートなどを同梱し「Vine Linux 2.0CR」として技術評論社から発売されている PC/AT互換機
Caldera OpenLinux 米Caldera Systemsが手がけるディストリビューション。ノベルのNDSとの親和性が高く,管理ツールやアカウント管理のためのツールが揃っている。OpenLinux 2.2に対応する日本語対応追加パッケージ「かぼす」は,アミュレット(市川充商店)から公開されている。ベースとなっているのはRed Hat Linux,現在のバージョンは2.3である(2000年7月現在) PC/AT互換機
Kondara MNU/Linux デジタルファクトリが手がけるディストリビューション。Red Hat Linuxがベースとなっており,TrueTypeフォント(ダイナラブ5書体)やNetscape Communicator4.7日本語版,Macromedia Flash4などが同梱されている。 PC/AT互換機
Linux MLD III メディアラボが手がけるディストリビューション。Windowsのファイルシステム(FAT16/32)上にもインストールが可能な点を特徴としていたが,現在では本家Red Hat Linuxでもサポートされたため大きな特徴とはいえない。FAQがとても充実しており,初心者でも安心できるだろう。前述のようにベースとなっているのはRed Hat Linux,現在のバージョンは3.0である(2000年7月現在) PC/AT互換機
Debian GNU/Linux Ian Murdock氏が設立したメーリングリストを利用し,投票によって基本方針を決定するディストリビューション。Debian Projectと呼ばれ,ほかの多くのディストリビューションと同じくボランティアで成り立っている。日本語対応のパッケージは,Debian JP Projectが作成しているが,日本語対応の別ディストリビューションを作るのではなく,本家のDebian Projectに統合される形となっている。現在のバージョンは2.1である(2000年7月現在) PC/AT互換機
プロサーバ for Linux ギデオンが開発し,富士マグネディスクが販売するディストリビューション。Debian GNU/Linuxが基となっており,日本語上のサーバ用途を特徴としている。手軽にネットワークやアカウント設定ができるよう独自の管理ツールが同梱されている。初心者でもマニュアルを片手にインストールすれば,サーバ構築までできてしまうというコンセプトになっている。Debian 2.0をベースとし,現在のバージョンは2.0である(2000年7月現在) PC/AT互換機
Live Linux メディアラボが手がけるディストリビューション。いちばんの特徴は,ハードディスクにインストールせずCD-ROM上で起動することができる点だ。このためLinuxがどのようなものであるか最初に触れるディストリビューションとしては最適かもしれない。ただし,各種の設定ファイルを変更したものが保存できない点やなどの制限もあるため,使いこなしていくには難しいかもしれない。現在のバージョンは1.0だ(2000年7月現在) PC/AT互換機

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