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» 2001年06月20日 00時00分 UPDATE

LinuxでPalmを使いたい〜シリアル接続編〜

[木田佳克,ITmedia]

 Palmデバイスをパソコンと接続する手段には,PalmPilotやWorkPadなどで使われている「シリアル接続」,VisorやCLIEなどの「USB接続」,そしてモデル共通の「赤外線接続」の3通りがある。今回は,比較的旧型モデルで採用されているシリアル接続で,次に挙げる2種類のソフトそれぞれでの方法を紹介しよう。

・Pilot-link

# pilot-xfer /dev/pilot -i hogehoge.prc
※hogehoge.prcをインストールする操作の例

・J-Pilot
画面
PalmDesktopとほぼ同じ操作で使うことができる

 Linux+Palm環境のためには,シリアルデバイスを使うために前準備が必要だ。また,後述するソフトではデバイス名/dev/pilotを介し,シリアルデバイスにアクセスをする。このため,まず最初にシンボリックリンクを作成しよう。

クレードルからのケーブル接続先が,
COM1の場合には,/dev/ttyS0
COM2の場合には,/dev/ttyS1
となっている。ここでは,COM1の例として次のようにシンボリックリンクを作成した。

# ln -s /dev/ttyS0 /dev/pilot
# chmod 666 /dev/ttyS0

※ chmod 666を実行するのは,一般ユーザーでも使用できるようにするため

 ちなみに,現在のポート状況を知りたい場合は,次のようにsetserialコマンドを使えば把握することができる。シリアルチップ名「16550A」が表示されれば問題はない。

# setserial -g /dev/ttyS*
/dev/ttyS0, UART: 16550A, Port: 0x03f8, IRQ: 4
/dev/ttyS1, UART: 16550A, Port: 0x02f8, IRQ: 3
/dev/ttyS2, UART: unknown, Port: 0x03e8, IRQ: 4
/dev/ttyS3, UART: unknown, Port: 0x02e8, IRQ: 3

コマンドベースの「Pilot-link」

 LinuxでPalmデバイスを使うには,「Pilot-link」と呼ばれるソフトを利用するのが一般的だ。ソースのtarボールはもちろんRPMなどのバイナリファイルも配布されているフリーソフトウェアである。

 しかし,このソフトはコマンドベースで使うソフトのため,WindowsやMacOS版でPalmDesktopを使い慣れている人は,後述するJ-Pilotを利用するのがよいだろう。

・Pilot-link入手先
http://sourceforge.net/projects/pilot-link/

 上記サイトからpilot-link.xxxx.tar.gzをゲットしたら,次のようにインストール作業に移ろう(6月20日現在はバージョン0.9.3)。

$ tar zxfv pilot-link.0.9.3.tar.gz
$ ./configure
$ make
$ su
# make install

 Pilot-linkとは,下に挙げる各種ツールの総称である。それぞれのコマンドを実行する前には,「クレードル上のHotSyncボタンを押してからコマンド入力をする」共通手順があることを覚えておこう(またはHotSync操作をPalmOS上で実行)。また,これらのコマンド操作では,WindowsやMacOS上のHotSyncのようにインストールとバックアップが組で動作しないという点にも注意が必要だ。ただし,後で紹介する「J-Pilot」を使用すれば,解消される。GUIで操作したい人は,J-Pilotのための基盤環境作りだと考えればよいだろう。

■Pilot-linkで使う代表的なコマンド
pilot-xfer
Windows,MacOS版のHotSyncと同じく一連のシンクロ操作すべてをそれぞれに指定できるコマンド
install-addresses
アドレス帳データをインストールする
install-memo
メモ帳データをインストールする
addresses
予定帳データをバックアップする
memos
メモ帳データをバックアップする

 pilot-xferコマンドを使ってPalmwareをインストールするには,次のようにする。

# pilot-xfer /dev/pilot -i hogehoge.prc
※hogehoge.prcはPalmwareファイル

 PalmOS上のバックアップをするには,次のように指定すればよい。

# pilot-xfer /dev/pilot -b ~ykida/pilot
Waiting for connection on /dev/pilot (press the HotSync button now)...
Connected
Backing up '/home/ykida/pilot/Unsaved Preferences.prc'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/Saved Preferences.prc'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/Graffiti ShortCuts.prc'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/Net Prefs.prc'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/AddressDB.pdb'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/MemoDB.pdb'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/ToDoDB.pdb'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/MailDB.pdb'... OK
Backing up '/home/ykida/pilot/NetworkDB.pdb'... OK
Backup done.

※「~ykida/pilot」は書き込み可能な任意のディレクトリで構わない

・PalmDesktopとほぼ同じ操作性の「J-Pilot」

 Pilot-linkはコマンド操作のため馴染みにくい…。そんな人は,次に紹介するJ-Pilotを使ってみよう。WindowsやMacOS上で動作をするPalmDesktopとほとんど同じ操作性が手に入る。

・J-Pilot入手先
http://jpilot.org/

 まず最初に,上記の公式サイトからjpilot-xxxx.tar.gzをゲットしよう。Red Hat用にはRPMパッケージも用意されているが,ここではソールからのコンパイルをしてみた。

$ tar zxfv jpilot-0.99.tar.gz
$ cd jpilot-0.99
$ ./configure --with-japanese
$ make
$ su
# make install

 実行するには,X上のktermなどで「jpilot &」と入力すればよい。次のようにエラーが表示された場合には,ld.so.confにパスを登録して「ldconfig」を実行すればよい。

jpilot: error in loading shared libraries: libpisock.so.3: cannot open shared
object file: No such file or directory

# vi /etc/ld.so.conf
/usr/local/lib ←追加
/usr/lib/gconv
/usr/X11R6/lib
/usr/kerberos/lib
/usr/i486-linux-libc5/lib

# ldconfig

画面
コマンドラインにて「jpilot &」と入力し,J-Pilotを起動させたメインウィンドウ。このように「予定表」が表示されるが,メニューも日本語表示されているのが分かるだろう

画面
「アドレス帳」に切り替えたところ

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