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» 2004年05月11日 12時00分 UPDATE

システム部門Q&A(8):システム部門の縮小化に打ち勝つ! (1/2)

人員削減・アウトソーシングなどにより、縮小化が進むシステム部門。一方、利用者からの開発・サポート要求は増加しており、十分な対応ができない。どうすればいいだろうか。

[木暮 仁,@IT]

質問

質問 システム部門の縮小化が進み、エンドユーザーからの要求に応えきれない

社員数千名の大企業の情報システム部門です。インフラの構築や基幹業務系システムの開発・運用をアウトソーシングしていた結果、現在は10名程度の少人数になりました。利用部門からの情報入手要求や部門内小規模システムの開発要求などが多く、サポートし切れない状態です。どのような解決方法があるでしょうか。



情報システム部門の戦略部門化/アウトソーシングにより縮小化が進み、日常的な業務を支援する機能さえ失ってしまう危険があります。それを、EUC(エンドユーザー・コンピューティング)普及の視点と、利用部門とベンダの関係の観点から考察します。

情報システム部門縮小化に対処するには……

  • 情報システム部門の負荷を低減するには、利用者がある程度の情報技術やデータファイル内容の知識を持つことが求められる
  • 支援グループを、情報システム部門と現場利用部門だけでなく、業務統括部門にも設置することが望ましい
  • 利用部門とベンダの直接取引が多くなるが、その副作用に留意する必要がある
  • これらの解決策として、情報システム部門と利用部門の間での人事交流が必要であり、情報システム部門からの転出者をヒーローにすることが効果的である

情報検索系システム普及の観点

 社内の情報システムを、その利用形態から次の3つに区分します。

基幹業務系システム 販売システムや会計システムなど、業務ルールに従い定例的・定型的に処理をする
情報検索系システム 基幹業務系システムで収集・蓄積したデータを、エンドユーザーが任意な切り口で検索加工する。典型的な例がデータウェアハウス
コミュニケーション系システム グループウェアやナレッジ・マネジメントなど

 基幹業務系システム以外の形態を「EUC」といいますが、ここでは情報検索系システムを対象に考察します。

1.利用者への教育・普及

 従来情報検索系システムの位置付けは、基幹業務系システムの付帯的なものでした。しかし現在では、むしろ情報検索系システムが重要なのであり、それに正確なデータを効率的に提供するのが基幹業務系システムであるという考え方が広まってきました。

 ところが、情報検索系システムの運営を誤ると、その意図が達成できません。利用部門は情報知識が乏しいし、また要求するべきではないと考えて、「1をクリックすれば○○集計表、2ならば△△分析表」というような「個別帳票メニュー提供方式」にすることがあります。これは一見便利なのですが、利用部門はメニューにない情報を得ることができません。新メニュー要求が多くなると、情報システム部門の負荷が増加しますし、要求へのバックログが山積してしまいます。

 これを解決するには、個々の要求に応じてメニューを作成するのではなく、それらの基になるデータを利用部門が使いやすい形式にしたファイル群として公開し、使いやすいツールを提供することにより、必要な人が必要なときに必要な情報を得られるようにしようとするものでした。このような提供方式を「公開ファイル提供方式」といいます。

 情報検索系システムの運用で、情報システム部門の負荷を少なくし、利用者が多様な情報を得られるようにするには、個別帳票メニュー提供方式ではなく、公開ファイル提供方式にするのが適切です。

r8qa08_01.jpg

 また、利用者は単に情報を得るだけでなく、それをさらにグラフにしたり、報告書に挿入したりするなどの二次加工を行います。利用者が表計算ソフトなどに習熟していれば、情報検索系システムでは、公開ファイルを選択集計してスプレッドシートに転送するまでの機能を提供すればよいのですが、利用者にその知識がないと、二次加工の機能までもサポートしなければなりません。それでは、個別帳票メニュー提供方式と同じになってしまいます。

 情報検索系システムを効率的に運用するには、このように利用者にある程度の情報技術やデータファイルの内容に関する知識が求められます。その教育普及は大変ですが、それを乗り越えないと、情報検索系システムの円滑な発展はできないのです。

2.推進体制と任務分担

 情報検索系システムなどのエンドユーザー・コンピューティングを推進・支援するグループを「支援グループ」ということにします。一般的には、支援グループを情報システム部門内部と現場の利用部門に設置しますが、それに加えて、営業本部とか本社経理部などの業務統括部門にも支援グループを設置することを勧めます。

情報システム部門

 情報システム部門がすべてを担当するのでは限界があります。まず、情報システム部門の人が足りません。支店や工場など利用部門が遠隔地に散在しているときは、研修のための時間や費用も膨大になります。また利用者がちょっとしたことを聞くのに、電話では要領を得ません。教育内容が技術的な面に偏り、業務に密着した利用につながらない傾向があります。

 そこで現場利用部門の支援グループを育成して、業務としての普及はそちらに任せ、インフラ整備を主任務とするのが適切です。

  • ハードウェア、ソフトウェアの整備
  • 公開ファイルや簡易ツールの整備(データウェアハウスの維持)
  • 教育マニュアルなどの整備など

現場利用部門  

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 単にエンドユーザー・コンピューティングの普及だけではなく、基幹業務系システムも含めた部門の情報化推進全般を担当するのが通常です。教育やヘルプデスクだけでなく、LAN環境の管理やトラブルが発生したときのアウトソーシング先への連絡なども行います。


 業務に密着した指導・支援をするのに効果的ですが、ややもすると次のような問題が発生します。

  • 各部門で同じような業務を行うので非効率になる。特に情報化リーダー間の連携が不十分だと、同じようなマニュアルを重複して作成するようなムダも生じる
  • 各部門がバラバラな推進をして、格差が生じたり、標準化が徹底しないことがある
  • 利用部門内部で情報化リーダーへの依存が高まり、便利屋にされてしまう

業務統括部門  

 業務統括部門は業務の仕方を指示し管理する部門です。効果的に情報活用の仕方を推進する立場でもあります。ですから、情報システム部門が情報技術的な支援をするのに対して、業務統括部門では業務の視点から支援します。

 個別帳票メニュー提供方式の欠点を前述しましたが、これは便利な形態ですので否定することはできません。その要求を情報システム部門が受けるのでは、とかく情報システム部門は利用部門のいいなりになりがちで、あまりにも膨大な負荷を抱えてしまいます。それに対して業務統括部門では、利用部門からの要求が効果的なものならば、ほかの部門にも使えるように普及するでしょうし、業務方針と異なる要望ならば仕事の仕方を変えるように指導するでしょう。

3.支援グループのアウトソーシング?

 基幹業務系システムは、業務が明確になっているので、アウトソーシングしやすいのですが、情報検索系システムは多数の利用者が多様なトラブルを抱えているので、支援グループの業務を明確にするのが困難です。しかも、利用者の業務をよく理解していないと適切な支援はできません。

 支援グループをアウトソーシングするにしても、情報システム部門が担当するような業務、特に業務とはあまり関係のないパソコンの操作とか表計算ソフトの利用法などの分野に限られます。

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