それでは、既存システムのトラブル対応などに振り回されているシステム担当部署のメンバーが、プロジェクトに十分かかわることができ、その知識や経験を生かすことができるようになるためにはどのような施策が有効でしょうか。
案として、
などが考えられます。
もちろんケースにもよりますが、特効薬などなく愚直に対応せざるを得ないことの方が多いでしょう。既存システムのトラブルに関しては、そのシステムが業務を担っている以上対応しなければならないことはやむを得ません。
結局は、トラブルの発生しない変更のしやすいシステムを作り、それを維持、管理することが次回以後のプロジェクトを阻害しないことです。そういうシステムを作ることに努力をしなければいけないのです。
そのためには、思い切って、ここで時間を調達しなければなりません。ベンダにできもしない無理をさせるよりも、システム担当部署のメンバーができることをしっかりとするべきです。システム担当部署のメンバーが、たとえ既存システムの対応にかなり時間を費やしたとしても、さらに時間をかけ、レビューを開いてほかのメンバーの報告を聞いたり相談に乗ったりして機能要求仕様の精度を向上させなければなりません。
ここで時間をケチってやらなければならないことをやらなかったために、後で出てくる批判や後悔は必ずあります。それは高コストシステムとなっていることであり、また次のシステム開発の足かせになるということです。大体、機能要求仕様が決まっていないのに、ユーザー側はさっさと帰宅、ベンダ側は終電──これでいいシステムができるとは考えられません。
なお、システム担当部署のメンバーがプロジェクトを面倒がってなるべくかかわらないように既存システムの世話に逃げることもあるようです。もし、このような人がいるならば、その人にはプロジェクト作業から外れてもらい、その代わりに、トラブル対応を含むルーチン作業を精力的にしてもらいましょう。プロジェクトチームがプロジェクトに専念できる環境づくりに貢献してもらうということで、この人なりのプロジェクトへの参画ということになります。人には事情があるものなので、この辺りは大人の対応が必要です。臨機応変にいきましょう。
プロジェクトの運営を工夫することも重要です。例えば、
などがあります。今後、これらのこともこの連載で取り上げていく予定です。
システム担当部署が主導的に関与できないプロジェクトのチェックポイント
次回は強いチームである方策を考えます。
山村 秀樹(やまむら ひでき)
某製造業において、主としてシステムの運用保守作業に従事している。仕事を通して、コンピュータ・システムに関心を持つようになり、中でもシステムの開発プロセスについて興味を感じている。
Elie_Worldを運営し、システムのライフサイクル全般にわたる作業について考えている。
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