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» 2006年11月30日 12時00分 UPDATE

目指せ!シスアドの達人−第2部 飛躍編(1):敵は大企業にはびこる縦割り組織と恋の距離感(第1話) (1/3)

[小山俊一(シスアド達人倶楽部),@IT]

第1部のあらすじ

第1部での坂口は、サンドラフトサポートの東京本社に赴任し、「新営業支援システム開発プロジェクト」を担当した。プロジェクトは、さまざまな人間に支えられつつ、数々の困難を乗り越え、何とか成功した。そして坂口は、プロジェクトでの活躍が認められ、異例の親会社への逆出向となった。第2部の坂口は、大企業特有のセクショナリズムに苦しめられつつも、全社規模のシステム導入を目指す。



新生「IT企画推進室」のミッションとは?

坂口 「サンドラフトサポートから来ました、坂口啓二です。よろしくお願いします!」

 ここは、東京の汐留にあるサンドラフトビールの本社。

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 今日は、サンドラフトビールに新たに設置されたタスクフォースである「IT企画推進室」の結成ミーティングの日だ。春の日差しが降り注ぎ、澄み渡る東京ベイ。レインボーブリッジが一望できる20階の会議室では、室長の名間瀬勝也、子会社のサンドラフトサポートから異動してきた主任の坂口啓二、総務部から異動してきた伊東敦史の3名が初めて顔を合わせていた。

 サンドラフトビールは、ヒット商品である「太陽のDRY・生」を武器に、果敢に大手ビールメーカーに戦いを挑んでいる、成長著しい中堅ビールメーカーである。坂口はサンドラフトサポートにおけるプロジェクトの功績が認められ、親会社であるサンドラフトビール本社への逆出向という形で新たなフィールドに立っていた。

伊東 「ぼ、ぼ、ぼ……僕は伊東です!! 総務部から異動してきました。よろ、よろ、よろっしっくお願いしまっあしゅ!!」

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落ち着かない様子で、何度もかみながら、ペコペコと頭を下げて自己紹介をしているのは伊東敦史。総務部から異動してきた社会人3年目の青年だ。自分に自信が持てないのか、かなりオドオドしており、小柄なのがそれに拍車を掛けて頼りない雰囲気を醸し出している。

名間瀬 「それにしてもこの忙しい中、タスクフォースの室長もやれ、なんてどうかしてるよ、まったく!!」

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 それぞれの簡単な自己紹介を終えた後、室長の名間瀬が怒気を強めて口にした。忙しさからかピリピリとしたオーラを出している名間瀬は、経営企画部長を務めており、今回設置されたIT企画推進室では、兼務という形で室長に就任している。

名間瀬 「子会社から戻ってきた西田副社長が、気まぐれで『全社規模のITプロジェクトをやるんだ!!』とかいい出しちゃってさぁ……。それで出来上がったのが、このIT企画推進室だ。面倒だけど、俺たちはいわゆるプロジェクトのかじ取り役だ。というわけで……」

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 名間瀬はIT企画推進室のミッションを、坂口・伊東に伝え始めた。名間瀬の話によると、サンドラフトグループ全体のIT化推進を加速させるために、「新生産管理システム構築プロジェクト」を遂行することがIT企画推進室のミッション、とのことである。

サンドラフトビールには生産管理部門内において独自に稼働しているシステムがあったが、営業部門とのシステム連携がされていないため、受発注や納期調整などでたびたび部門間のトラブルを招き、顧客からのクレームにもつながっていた。

 今回立ち上げることになった「新生産管理システム構築プロジェクト」では、そんな現状の課題を解決するため、生産管理部門だけでなく関連部門や子会社とも連動するシステムを新たに構築することが求められた。

 そして、経営企画部長として各部門と調整経験のある名間瀬に白羽の矢が立ち、プロジェクトマネージャとしての役割が期待されていたのだ。また、坂口や伊東はIT企画推進室に専任として配属され、名間瀬の手足としてプロジェクトを推進することが期待されている。

名間瀬 「で、俺は経営企画部との兼務で忙しいから、取りあえず坂口。お前、計画に落とし込んどいてね」

坂口 「ええっ??!! 俺がですか!?」

名間瀬 「そうだよ、お前がだ。だって子会社でバッチリやってきたから、本社に逆出向なんて前例のない、とんでもないことになったんだろう?」

坂口 「えぇ、まぁ、そうなんですが……」

 名間瀬はいとも簡単にいったが、坂口が戸惑ったのも無理はない。

 全社プロジェクトを命じた西田副社長が持つプロジェクトのイメージは、「とにかく全社でパチパチ、ピッでドーン!! というシステムを作ってくれ」というレベルで、具体的な施策までは落とし込まれていなかったからである。

名間瀬 「つまり、これをやるために子会社から来たんだろ? できないの??」

坂口 「い、い、いえ。やります! やってみせます!!」

名間瀬 「よーし、じゃあ任せたぞ!! ただし、中途半端な計画書を作ってみろよぉ……。ただじゃおかないからな!」

 坂口は早速に両肩に重く伸し掛かる責任を感じていた。

 IT企画推進室は本社16階にある経営企画部の一角にパーティションで区切られた所に設けられていた。席に戻った坂口は、全社プロジェクトの進め方について頭を悩ませていた。

坂口 (これじゃあゴールがイメージできないよなぁ。とにかく西田副社長の意図するところを直接聞いてみないと。それから具体的なタスクに落とし込んで、関連メンバーを選出して……)

 坂口は頭の中で整理をしながら、「これは忙しくなりそうだなぁ」と不安ながらもシスアド魂に火を付けていた。

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