運用するサーバの数が増えてくると、これらのサーバをどこに配置すべきかが、次第に大きな問題となってくる。ニーズに合わせ、社外の各種サービスの利用も柔軟に検討したい
業務が拡大すればするほどサーバも増えていくのが一般的だ。サーバが増えてくると、サーバをどこに設置するかが大きな問題となってくる。そこで今回は、最適なサーバ設置について考えてみたい。
サーバを設置する場所には主に社内サーバルームとデータセンターがあるが、それぞれどんなメリットがあるのだろうか。
サーバを社内サーバルームに置くことの最大のメリットは、サーバメンテナンスやサーバ増強などの作業があるとき、すぐに情報システム部員が駆け付けられるということである。電車やタクシーを乗り継いでデータセンターに行くのと比べると雲泥の差だ。もし社内サーバルームの収容スペースに余裕があれば、極力社内サーバルームを活用したいところだ。
一方、サーバをデータセンターに置くことの最大のメリットは、社内サーバルームに比べてサーバ収容スペースに余裕があり、いくらサーバ台数が増えても問題なく収容できることである。社内サーバルームの収容スペースが逼迫してきた場合にサーバルームを増やすのは容易ではない。スペースの確保はもちろんのこと、空調、電気、UPSといった基本インフラを用意するには大変費用がかかる。
また、データセンターには法定点検でサービスが停止しないということや、事務所とサーバ設置場所を分離することでいわゆる物理セキュリティが向上するというメリットもある。
このように、社内サーバルームに余裕があれば社内サーバルームにサーバ設置を行うのがよいが、サーバ増加が著しい場合や、1日24時間365日サービスが止められない場合、および物理セキュリティを強化したい場合はデータセンターを利用するのがよい。
次に、実際に社内サーバルームからデータセンターにサーバを移すことになった場合の手順を紹介する。
1. データセンターと契約する
データセンターとの契約では、場所や価格面だけでなく、収容スペースやサーバ障害時の対応(リモートハンド、つまり復旧代行サービスや、現地エンジニアの対応が期待できるか)などについても確認しておく。
2. サーバ移転計画(設計)を行う
サーバ移転計画では、ネットワーク設計(LAN構成やIPアドレス割り振りルール)、サーバの物理的な移動に対する段取り、社内への告知などを行う。
3. 社内とデータセンター間のネットワークをIPsecでつなぐ
社内とデータセンター間の通信はインターネットを介することになるケースが多い。すると暗号化通信が必須となるが、両拠点をIPsecでつなぐのが一般的である。この作業は自分たちで行うか専門業者に対応を依頼する。データセンターによってはこれを代行してくれる場合もあるので、一度相談してみると良いだろう。
4. サーバを物理的に移動する
サーバを物理的に移動する作業は、専門業者に依頼するのが安心である。台数が少ない場合はサーバを抱えてタクシーや自家用車などで移動することもよく行われる。いずれの場合にも注意すべきことは事前にバックアップを取っておくことだ。サーバ移動中にハードディスクドライブが損傷してデータが抜き出せなくなる事故がよく見られるためである。また、もし予算の都合が付くのであれば、この機会にデータセンターに新しいサーバを導入することでサーバの物理的移動を避けるという方法もある。
ところで、そもそもなぜサーバが増え続けるのか。社内で使われるサーバにはファイルサーバ、グループウェアサーバ、業務支援系サーバ、メールサーバ、サービス用サーバなどがあるが、業務が拡大してくればさらにいろいろなサービスのサーバが必要となる。さらに冗長化を行うのであれば、同じ種類のサーバがそれぞれ2セット必要だ。これに加えてUPSやバックアップ装置なども必要となる。システム開発も行うならば開発用サーバも必要である。このように何かを行おうとすればサーバがすぐに増えてしまう現状がある。
そこで、サーバ台数が増えてきた場合はサーバ台数そのものを削減できないか考えてみるのも良い。サーバ台数削減には、例えば以下の方法がある。
特に仮想化技術を利用してサーバを統合する方法は、ハードウェアリソースを各サービス間で共有するだけでなく、冗長ハードウェアリソースも各サービス間で共有できるので、サーバ台数削減の大きな決め手になる。最近当社の社内で取り組んだ事例としては、グループウェアサーバ、Wikiサーバ、開発用サーバの3種類をそれぞれ冗長2セット、つまり6台のサーバを、仮想化技術を使って2台に削減した。
サーバの設置を考える場合、スペースに余裕があれば社内サーバルームに置き、スペースに余裕がなければデータセンターに置く。サーバ台数が多すぎる場合はサーバ台数そのものの削減も検討する。場合によってはアウトソーシングサービスを利用し、自社でサーバを持たないようにすることも有効である。
▼著者名 sanonosa
国内某有名ITベンチャー企業に創業メンバーとして携わる。国内最大規模のシステムを構築運用してきたほか、社内情報システム業務を経験。韓国の交友関係が豊富なことから、韓国関連で多数のシステムインテグレーションを行ってきた。
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