連載
» 2007年09月26日 12時00分 UPDATE

新発想の業務フローチャート作成術(4):業務フローチャート上で時間を可視化する (1/3)

業務において時間は非常に重要な要素だ。にもかかわらず、業務フローチャートに時間の概念を盛り込む方法で、標準化され、定着しているものはない。今回は新発想に基づき、時間の概念を業務フローチャートの基本要素として組み込む方法を考える。

[松浦剛志(プロセス・ラボ),@IT]

 本連載では、業務フローチャート作成における課題への対処方法を考えてきた。前回までに、従来の方式の問題点である、業務バリエーションの盛り込みと、作業の大きさについての課題を解決する方法を提唱してきた。

 連載第4回の今回は、まず時間の概念をどのように業務フローチャートに盛り込むかということについて考える。時間の概念は作業の要素の中で最も可視化が難しく、描く人に委ねられてきた部分であった。そのため、吹き出しを使って、思い思いのことを描くというのが一般的であった。

 後半では、本連載で紹介してきた新しいフローチャートの作成に必要な時間が、従来のものと比較してどのように変わるのかに関して言及する。

時間を業務フローチャートの基本要素にする

 ビジネスにおいて、時間の概念は重要である。経営戦略、新製品開発、製品・サービスの提供など、さまざまな局面で、「市場のニーズに応えるスピードが競争のカギだ」といったいい方がされる。日常業務でも、意識しているか否かにかかわらず、「時間」を押さえなければ支障を来す。新入社員にまず指導することの1つは時間に関する意識付け、例えば「仕事を頼まれたら、必ず期限を確認すること」といったことだ。

 業務フローチャートは、「業務プロセスを可視化する」ためのものである。現実の業務において時間が不可欠な要素である以上、業務フローチャートにも必ず盛り込むべきと考えるのが筋であろう。現実的なメリットもある。業務フローチャートに時間の概念を盛り込めれば、業務改善や担当業務の見直し、リードタイムの縮小などに役立つ、価値ある情報が得られる。

 従来、業務プロセスにかかわるさまざまな情報を1枚の紙に可視化しようと努力が続けられてきた。にもかかわらず、時間の概念を盛り込む方法で、標準化され、定着しているものはない。「担当者や担当部署によって仕切られたスイムレーンに作業をプロットする」という従来の描画主体の手法では、時間に関する情報を「吹き出し」に描き込んで、作業の脇に添えるといったやり方を提唱している。これでは、標準化しているとはいい難い。

 そこで、時間の概念を、業務フローチャートに直接盛り込む方法を考えていこう。標準化のための課題は2つある。第1に、時間に関する記入内容を定型化することである。第2に、表記の問題、つまり業務フローチャートのどの部分に定型的に盛り込むのかということである。

 まず第1の課題、記入内容の定型化について考えてみよう。そもそも、「時間」を認識する際、とらえ方は2通りある。「点」と「線」、つまり、「いつ」という点と、「どのくらいの期間」という線である。さらに考えると、「どのくらいの期間」というのは、その期間の開始と終了の差であるから、結局、期間という「線」も「いつ」という「点」によって定義できる。

 業務に関する「点」は、作業の開始と終了である。従って、時間に関する記入内容の定型化は、結局、作業の開始と終了という「点」の内容をどのように定型化するかという問題になる。

 ここで、現場で実際に起こり得るパターンを思い起こしてみよう。作業の開始と終了を表す、どのような「点」があるだろうか。大きく分けて2通りある。1つは、絶対的な時間軸である。例えば「毎朝9時に開始」「毎週火曜日に発信」「毎月5、10日に締め切り」といったものである。もう1つは、相対的な時間軸で、ほかの作業を起点としているものである。例えば、「前の作業が終わってから10分後に開始」といったものである。

 ここまでで、時間という「点」をとらえる切り口として、開始/終了、絶対/相対の2つがあることが分かった。これらを組み合わせると、4つの場合があることになる。ただし、もう一段掘り下げて考えると、実は4つの場合のうち、「絶対的な終了」はない。なぜならば、一見絶対的な時間軸で終了するようでも、実際にはほかの作業を起点としているからである。例えば、「受注処理は、毎日18時までに終了」といわれている作業であっても、よく見ると、「受注処理は、受注ファックスが到着した当日の18時までに終了」というように、ほかの作業がもともとのきっかけになっている。

 なお、ほかの作業を起点とせず、かつ特に開始する曜日や日時が決まっていない作業もあろう。こういった場合は、便宜的に、「絶対的な開始」と考えて整理する。例えば、ファックスが舞い込むたびにスタートする作業や、書類ボックスがいっぱいになるとスタートするような、随時始めるような作業や、適宜始めるような作業である。「ほかの作業を起点としない」ことが、絶対的と分類される基準である。

 第2の課題、業務フローチャート上の表記方法について考えてみよう。第1の課題、つまり記入内容の定型化については、時間は「絶対的な開始」「相対的な開始」「相対的な終了」の3つの型でとらえられることが分かった。この3つの型を、表記方法にどうひも付けできるかが、次の課題である。

  「相対的な開始」と「相対的な終了」は、1つの線上で表すと理解しやすいだろう。そこで、以下のように表記してみることにする。

r2image013.jpg 図1 相対的な開始と相対的な終了の表記

 派生的な型をまとめて一覧表にすると、以下のようになる。

r2image02-13.jpg
r2image02-23.jpg 図2 相対的な開始と相対的な終了の派生の表記

 さらに絶対的な開始の表記については、以下のようにする。

r2image033.jpg 図3 絶対的な開始の表記 (随時:必要なインプットがフローの範囲外から不定期に入手され、それをきっかけに開始する 適宜:必要なインプットがそろっていても、すぐには開始せず、日時以外のトリガーで開始する)

 業務フローチャートのどの部分に時間を定型的に盛り込むのかについては、作業との関連性に基づいて時間を表記することで解決することができる。

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