自動テープライブラリーストレージは、データ量の拡張や処理性能の拡張性が高く、しかも機密性や完全性、可用性に幅広く対応でき、経済的なリスクを抑えることができ、ILM基盤には最適なストレージだといえる。
技術革新によって、ディスクストレージの容量単価が下がっているが、ほぼ同じ比率でテープストレージの容量単価もまた低下しており、ディスクとの容量単価の比較では相変わらずけた違いほどの差がある。また、テープストレージは保存するだけなら電力消費ゼロ、CO2排出もゼロであり、経済性と環境面に優れたストレージといえる。
少し横道にそれるが、原油価格の高騰や、地球温暖化に対するCO2排出抑制は、ITシステムにも大きな影響と責任がある。例えば、「2006年の日本の総発電量約1兆キロ・ワット時に対し、IT機器の電力消費量は5%に当たる約500億キロ・ワット時に上っている。二酸化炭素(CO2)に換算すると約2600万トン分で、乗用車800万台に相当する。省エネの技術進歩がこれまでと同じペースで続いた場合でもIT機器の電力消費量は2025年には約5倍の2400億キロ・ワット時(CO2約1.3億トン相当)になると見込まれる。(10月19日読売新聞(東京)朝刊11面より)」という記事が載っていた。
また、データセンターにおけるストレージ装置(ディスク、テープ)の電力消費は、約37〜40%(内ディスク80%、テープ20%)との報告(ソース:2007 Jupiter Media Corporation and The StorageIO Group)もあり、ストレージの選択は環境面でも大きな影響があることを意識しなければならない時期に差し掛かっているのは確かである。
筆者が所属するサン・マイクロシステムズでは、サーバをはじめストレージ製品およびシステム全体からデータセンターに至るまで、ITシステム全体でのエコイノベーション(エコロジー&エコノミー)に積極取り組んでいる。また、数多くのストレージ製品とユーザー要件に合った最適なILM基盤構築のためのサポートサービスを提供している。
昨今のビジネスを取り巻く環境として、ITが持つ役割は非常に大きい。
そして企業の統合や合併あるいは提携に際してそれぞれのIT基盤の統合、連携は、まさにM&Aの成功を大きく左右するといっても過言ではないだろう。
そうした中で、企業が持つコンプライアンスに関連した情報についての管理状態は重要であり、「自動化・集中化・標準化」を核とした管理・統制された効率的な統合ILM基盤構築は、市場への経営判断を左右する存在だ。
そして、この基盤は資本市場へ正しいメッセージを伝えるための基となる情報資源を、企業の将来にわたって効果的・効率的に保管・管理し、活用していくための情報基盤であり、まさにガバナンスとスピード経営の両立を支える、大きな役割を持つものといえる。
工藤 宣慶(くどう のりよし)
ストレージ・ビジネス統括本部 ストレージ・ビジネス開発本部 チャネル・ビジネス開発本部 専任部長
1993年に日本ストレージ・テクノロジー株式会社に入社、主にプロダクトマーケティングを担当し、ストレージコンサルタント、営業職なども経験。2006年会社統合によりサン・マイクロシステムズ株式会社に入社し、ストレージ・ビジネス推進に従事。
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