2007年は、ビジネス・インテリジェンス(BI)のリーディング・カンパニーが相次いで買収された。ビジネスオブジェクツはSAPに、コグノスはIBMに、ハイペリオンはオラクルに。SAPやオラクルはERPとの連携でBIの利用価値拡大を目指す。IBMはDB2を中心に据えた「Information on Demand」という事業プランを2006年から推進しており、そのためにコグノスを含めた23社の企業買収を行った。
@IT情報マネジメント用語事典ではBIを、
企業内外の事実に基づくデータを組織的かつ系統的に蓄積・分類・検索・分析・加工して、ビジネス上の各種の意思決定に有用な知識や洞察を生み出すという概念や仕組み、活動のこと
と解説している。企業は日々膨大なデータを生成、蓄積し、さまざまなアプリケーションで活用する。このような状況において、情報システムはできるだけシンプルな構造をしていた方がいい。「データを組織的かつ系統的に蓄積・分類・検索・分析・加工」するBIツールを単独で使用するのではなく、ERPやデータベースと密接に連携させ、システムの中に組み込んでしまった方が便利だ、とSAPやオラクル、IBMは判断したようである。
しかし、独立系企業として「(特定企業の)色がつかない」ことに強みを見出すBIベンダがある。マイクロストラテジーはその代表的な企業だ。BIプラットフォームの開発・販売に注力し、プラットフォーム上で稼働するアプリケーション(CRMやSCMなど)には手を染めない。データをモニタし、レポートを出力、分析するというBIの基本アクションに関する技術開発と販売が同社の主力事業である。
同社は、BIに関わるアクション(スタイル)を5つに分類している。モニタの分野では、スコアカードやダッシュボードの生成、アラート・プロアクティブ通知。レポート分野のレポーティング機能。分析分野のOLAP分析や、より高度な分析(データマイニングなど)。
これらのBIアクションをすべてWebブラウザで利用できるよう、同社は1996年からアーキテクチャの再構築に着手した。最新版の8.1では、FlashとAjaxを活用し、インターフェイスの表現力向上を実現した。
なお、OLAP分析において同社は、Relational OLAP(ROLAP)アーキテクチャを採用している。Multi-dimensional OLAP(MOLAP)と比較して、処理速度が遅いという弱点があるが、直接データベースにアクセスするため、サマリーレベルからトランザクションレベルまでさまざまな切り口のデータ検索が可能となる利点を有する。
独立系BIベンダの強みを生かし、パートナー戦略を重視する。IBMおよびテラデータとは日本市場を含めたグローバルの販売展開でパートナーシップ契約を結んでいる。そのほか、CSKなど国内の大手SIベンダ数社とパートナーシップ契約を結ぶ予定。
独立系であることは、「SIの現場ではたいへん重視される要素」だとマイクロストラテジー・ジャパン 営業本部長 大八木邦治氏は言う。日本IBM出身である大八木氏は、セールスの現場は自社が担いでいる製品に「それほど強いこだわりを持っているわけではない」ことを知っている。現場ではカタログに載っている提案よりも、顧客のニーズに合わせた提案が優先される。マイクロソフトラテジーが独立系の強みを生かす要素は現場にあるようだ。
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