「メーカー、3PLから引き合い多数」、日本オラクル「OTM 5.5」を機能強化、戦略的ロジスティクスを実現

» 2008年03月18日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本オラクルは3月18日、戦略物流を支援する輸送管理アプリケーション「Oracle Transportation Management 5.5」(以下、OTM 5.5)を機能強化したと発表した。

 「OTM 5.5」は、2005年に同社が買収したG-log社の輸送管理アプリケーション「G-log」を強化して2006年9月にリリースしたもの。今回は日本語対応や分析機能を追加したほか、同社の中堅企業向けERP「JD Edwards EnterpriseOne」との標準連携も実現し、グローバル規模の物流を展開する大手メーカー、物流会社をメーンターゲットに、4594万円(税込み)から販売する。

 同社では、ERPを中心とする社内情報基盤をすでに確立した企業に対し、対外的機能の充実を勧める「Beyond ERP」というコンセプトを打ち出している。具体的には、消費者とのコミュニケーションを図るCRM、サプライヤとの情報連携を支援するSRM(Supplier Relationship Management)などがこれに当たるが、OTMもそうした対外的機能を強化する製品群の1つとして位置付けている。

日本オラクルの製品戦略統括本部 アプリケーションヒジネス推進本部ディレクターの塚越秀吉氏

 製品戦略統括本部 アプリケーションビジネス推進本部ディレクターの塚越秀吉氏は、サプライチェーンがグローバル規模で拡大・複雑化し、供給リスクが高まっていることを挙げ、「グローバルサプライチェーンの効率的運用には、サプライヤ、3PL(Third party logistics)など、社外のパートナー企業との密接な連携が不可欠」と、対外的機能の重要性を強調。

 「OTMは移送中在庫も含めた、きめ細かな在庫管理、物流管理、コスト管理を実現する。計画通りに物を運ぶ『物流』から、あらゆる外的要因に柔軟に対応しつつ、戦略的に物を運ぶ『ロジスティクス』への転換を大きく後押しする」と力説した。

 続いて、製品戦略統括本部 アプリケーションビジネス推進本部シニアマネージャーの船戸麻衣子氏が、農業・建設機器メーカー、米Case New Holland社への導入事例も交え、OTMの機能を紹介した。

 OTMは大きく分けて4つの機能を持つ。納期、コストなど、さまざまな条件に合わせて最適な輸送手段を選ぶ「輸送最適化」、サプライヤや3PLなど、サプライチェーン構成各社との情報連携を実現する「グローバル輸送コラボレーション+実行管理」、人的対応が必要な業務のみ残し、マニュアル化できるルーティン業務を自動化できる「例外管理」、そして「サプライチェーン全体の可視化」の4つだ。

 船戸氏は、「例えば中国内陸部の工場からアメリカの小売店倉庫に届ける場合を想定すると、飛行機とトラックで運ぶ方法もあるが、トラックと船、鉄道を使い分ける方法もある。このほか、輸送計画を立てる際には、輸送ルート、納期、コストなど様々な条件を勘案しなければならない。OTMは入力された条件をすべて考慮し、最適な輸送計画を迅速に提示する」など、各機能について優秀さをアピールした。

「OTM 5.5」が提供するメリット

 調査会社の米フォレスターは「主要企業の76%のロジスティクスマネージャーは移送中在庫の追跡・状況把握ができていない」といった調査結果を発表している。これに対しOTMは、移送中も含めた在庫のトレース・状況把握を実現。倉庫への入庫数などがあらかじめ設定した計画値を下回ると、関係者にアラートを発信するイベント管理機能も備え、「きめ細かな物流管理を支援する」という。Webサービスを介して機能を提供できる点や、既存システムとの連携の容易さなど、パートナー企業との情報連携に配慮した点もポイントだ。

 最後に、セールスコンサルティング統括本部 SCM/PLM SC部 プロダクトスペシャリストグループ シニアマネージャーの町山洋丈氏がデモンストレーションを実施。地図上に輸送経路を表示する機能や、青、赤、黄といったインジケータの色で緊急度を示すイベント管理画面など、「直感的に内容を把握できる」シンプルなUIをアピールした。

 塚越氏は「海外ではG-log社を買収する以前に比べて、オラクルは大幅にOTMの導入実績を伸ばしている。日本国内でも大手3PLやメーカーから多数の引き合いがある。国際物流を展開するメーカー、物流会社を対象に、戦略的ロジスティクスの実現を積極的に支援していきたい」と話している。

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