環境問題にもムーアの法則を適用させる〜マイクロソフトマイクロソフトが環境問題への取り組みを発表

» 2008年10月07日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 マイクロソフトは10月7日、報道関係者向けに同社の環境への取り組みに関する説明会を開催。米マイクロソフト 最高環境責任者 ロブ・バーナード(Rob Bernard)氏が同社の取り組みを解説した。

 バーナード氏は、まず現在の地球環境を説明。「中国では350億ドルを投資してスーパーグリッドを構築するなど、IT投資が盛んだ。このようなITを含んだ電力需要に応えるために今後さらに電力消費が増え、中国全体では日本の総発電量の6〜7倍に当たる8億キロワットの発電を目指している」(バーナード氏)と指摘。今後5〜7年以内に行動を起こさないと、人類の生活に支障をきたす6度程度の温度上昇を招く可能性があると警告した。

バーナード氏写真 米マイクロソフト 最高環境責任者 ロブ・バーナード氏

 こういった状況を踏まえてマイクロソフトでは、約1年前に環境に取り組む本格的な組織を構成。「お客さまがソフトウェアを用いていかに環境に取り組むかを考え、地球へのインパクトを減らすことを考えている。競争が激しい分野ではあるが、環境を考えた場合には競争よりも協力関係を作ることが重要だ」(バーナード氏)と説明した。

 具体的には、ソフトウェアを搭載した機器のエネルギー消費量の2%削減を目指すほか、さまざまなソフトウェアの技術革新で環境負荷削減をサポートする。また、さまざまな環境団体との連携も強化するとした。バーナード氏は、「日本は1人当たりのCO2排出量が世界5〜6位の重要な市場だ。経済産業大臣とも会い、環境問題を話し合った」とコメントした。

 また、ITによるエネルギー効率に“ムーアの法則”を適用することを目指すという。「そもそも、企業の行動パターン自体を変えなければならない。この活動を見直せば、かなりのCO2削減効果が見込める」と説明した。さらにこれを実現するために、エネルギー効率の高い機能を備える「Reduce(削減)」、企業活動を分析して目標の達成度を監視する「Manage(管理)」、生産性の向上と省スペース化を目指す「Rethink(再考)」の3つの戦略を柱に実行していく。

 具体的な取り組みとしては、現在提供しているWindows Vistaの36の消費電力機能や仮想化ソリューションなどを提供。次のデスクトップOSである「Windows 7」では、さらに進化した省エネ機能を搭載させるとした。そのほか、同社自身の取り組みとして、米国シアトル本社では、自動車通勤削減のために乗り合いバスを運行。現在5万人の社員が利用することで、「1週間に45万キロ分の自動車利用を削減できた。将来的には100万キロの削減を目指す。また、在宅勤務も増やしていっている」(バーナード氏)とした。

 最後にバーナード氏は、「こういった環境への取り組みは、1社だけで推進しても限界があるので、協力が非常に重要だ。特に情報を提供し、共有することが大事だ。当社では、環境活動の透明性を上げて、さまざまな企業に提供するほか、協力していきたい」とコメントした。

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