ITIL V3でいうサービスストラテジとは何かITIL V3から知るITサービス管理(3)(1/2 ページ)

今回から、ITIL V3における5つのライフサイクルとは何かについて触れた後、サービスストラテジの詳細を解説していく。

» 2008年10月14日 12時00分 公開

5つのライフサイクルとは

 今回から、ITIL V3における次の5つのライフサイクルについて説明します。なお、文中で使用する用語に関しては、ITIL V3の日本語版の書籍に準じていきたいと思います。

  • サービスストラテジ(Service Strategy)
  • サービスデザイン(Service Design)
  • サービストランジション(Service Transition)
  • サービスオペレーション(Service Operation)
  • 継続的サービス改善(Continual Service Improvement)

 それぞれのライフサイクルは、5冊の書籍で個々に解説されていますが、各ライフサイクルに含まれるプロセス・ファンクションは、ITIL V2に比べて明確に定義されていません。

 例えば、ITIL V2では、サービスサポート(Service Support:通称青本)とサービスデリバリ(Service Delivery:通称赤本)では、10のプロセスと1つの機能についてそれぞれ章立てがなされていました。

 しかし、ITIL V3ではまったくそのようなスタイルは採用されていません。基本的にITIL V2の内容が網羅され、V2で学んだ知識はそのまま生かすことができる一方で、プロセス間でのコミュニケーション断絶を回避するために、プロセスを明確に切り出していない個所があります。そのため、ITIL V3を解説している書籍や記事によって、定義しているプロセスや機能の数が異なっています。

 本稿では、ITIL V3の各書籍における目次構成を引用しつつ、そのライフサイクルの中で主要なプロセス・ファンクションを取り上げていくため、itSMF(IT Service Management Forum)が発行するITIL V3ハンドブックに取り上げられていないものも含めて解説します。

 ITIL V3ハンドブックは、itSMFのWebサイトで公開されています。日本語版の書籍は、itSMF Japanオフィシャルサイトで購入できます。

サービスストラテジの概要とは

 サービスストラテジの目的は、「どのようにしてサービスを設計、開発、実装をしていくべきか」ということを、戦略としてまとめたライフサイクルです。これはサービス提供先となるビジネス領域の特定、提供サービスの決定、サービス提供に必要なアセットの準備に関する説明を含んでいます。

 サービスストラテジの書籍は、次の目次構成となっています。

  1. Introduction(1章 序章)
  2. Service management as a practice(2章 プラクティスとしてのサービスマネジメント)
  3. Service strategy principles (3章 サービス戦略原則)
  4. Service strategy (4章 サービス戦略の原則)
  5. Service economics (5章 サービスの経済学)
  6. Strategy and organization (6章 戦略と組織)
  7. Strategy, tactics and operations (7章 戦略、戦術、運用)
  8. Technology and strategy (8章 技術と戦略)
  9. Challenges, critical success factors and risks (9章 課題、重要成功要因、リスク)

 1章から3章の中盤までは、ITIL V3の全体的な考えを示した内容となっています。そこまでの重要な点は、本連載の第1回「ITIL V2をめぐる課題とV3の誕生」と第2回「ITIL V3はV2からどこが変わったか」でお伝えしましたが、サービス戦略の根幹についてまだ述べていなかったので、今回説明します。

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