今回から、ITIL V3における5つのライフサイクルとは何かについて触れた後、サービスストラテジの詳細を解説していく。
今回から、ITIL V3における次の5つのライフサイクルについて説明します。なお、文中で使用する用語に関しては、ITIL V3の日本語版の書籍に準じていきたいと思います。
それぞれのライフサイクルは、5冊の書籍で個々に解説されていますが、各ライフサイクルに含まれるプロセス・ファンクションは、ITIL V2に比べて明確に定義されていません。
例えば、ITIL V2では、サービスサポート(Service Support:通称青本)とサービスデリバリ(Service Delivery:通称赤本)では、10のプロセスと1つの機能についてそれぞれ章立てがなされていました。
しかし、ITIL V3ではまったくそのようなスタイルは採用されていません。基本的にITIL V2の内容が網羅され、V2で学んだ知識はそのまま生かすことができる一方で、プロセス間でのコミュニケーション断絶を回避するために、プロセスを明確に切り出していない個所があります。そのため、ITIL V3を解説している書籍や記事によって、定義しているプロセスや機能の数が異なっています。
本稿では、ITIL V3の各書籍における目次構成を引用しつつ、そのライフサイクルの中で主要なプロセス・ファンクションを取り上げていくため、itSMF(IT Service Management Forum)が発行するITIL V3ハンドブックに取り上げられていないものも含めて解説します。
ITIL V3ハンドブックは、itSMFのWebサイトで公開されています。日本語版の書籍は、itSMF Japanオフィシャルサイトで購入できます。
サービスストラテジの目的は、「どのようにしてサービスを設計、開発、実装をしていくべきか」ということを、戦略としてまとめたライフサイクルです。これはサービス提供先となるビジネス領域の特定、提供サービスの決定、サービス提供に必要なアセットの準備に関する説明を含んでいます。
サービスストラテジの書籍は、次の目次構成となっています。
1章から3章の中盤までは、ITIL V3の全体的な考えを示した内容となっています。そこまでの重要な点は、本連載の第1回「ITIL V2をめぐる課題とV3の誕生」と第2回「ITIL V3はV2からどこが変わったか」でお伝えしましたが、サービス戦略の根幹についてまだ述べていなかったので、今回説明します。
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