Microsoft ProjectでEVMに挑戦!これから始める進ちょく管理(4)(2/2 ページ)

» 2009年04月27日 12時00分 公開
[高田淳志オープントーン]
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「ビジュアルレポート」機能を使用したEVM作成

 最新版のProjectでは、EVMのレポートが簡単に作成できるようになりました。

 「レポート」−「ビジュアルレポート」メニューを選択し、「ビジュアルレポート:レポートの作成画面」を表示すると、「アーンドバリューの実績レポート」という項目が用意されていることが分かります。

ALT 画面9 「ビジュアルレポート:レポートの作成」画面

 早速、表示ボタンを押して実績レポートを作成してみましょう。作成されるレポートは、内部でMicrosoft Excel(Excel)にインポートされ、Excel上にグラフとなって表示されます(画面10)。ただし、いまのところは中身が何も埋まっていない空のグラフです。

ALT 画面10 Excel形式で出力されたレポート画面。ただし、入力されていないので、グラフは空のまま表示される

Projectへの記入実績値の追加

 私はいつもプロジェクトの実コスト(費用)ではなく工数で出来高を管理していますので、それに合わせた形で、Projectの記録内容や計算・出力項目をカスタマイズして自分用のテンプレートを使用しています。が、今回は本来のEVMの概念に沿って、かつProjectの基本機能を利用した形で進めていくことにします。「ProjectやExcelを利用して、そんなふうにできるのか?」という気付きのきっかけにしていただくイメージで、これ以降をご覧ください。

 分析日当日が1月22日だとして、それまでのタスクが次のように進行したという前提で実績値を入力してみます。

タスク名
開始日
終了日
達成率
予定時間
実績時間
1 設計:記事構成を考える 1月20日 1月21日 100% 16時間 10時間
2 設計:記事構成のレビュー 1月21日 1月21日 100% 8時間 4時間
3 設計:下調べをする 1月22日 未完了 20% 16時間 8時間

 この状況を文章でさらに補足すると、1月22日は、次のような状況です。

  • タスク1は、1月19日からの予定であったが、1日遅れの1月20日に開始した
  • タスク1は、16時間の予定であったが、10時間で完了した
  • タスク2は、予定どおり1月21日の1日間で完了した
  • タスク2は、8時間の予定であったが、4時間で完了した
  • タスク3は、予定どおり1月22日に開始した
  • タスク3は、16時間の予定であったが、8時間作業した時点での達成率は20%である

 その状況を入力した状態が、画面11および画面12です。

ALT 画面11 「ガントチャート(進捗管理)」画面(実績値入力後)
ALT 画面12 「リソース」画面(実績値入力後)

 さて、この状況でアーンドバリューの各構成値がどのようになっているかを表示して確認してみます。

 「表示」−「テーブル」−「その他のテーブル」メニューを選択し、「その他のテーブル」画面を表示します。「その他のテーブル」画面に表示される一覧の中から「達成額」テーブルを選択します。表示すると、BCWSやBCWPなどアーンドバリューの各項目要素が計算されているのが分かります(画面13)。

ALT 画面13 アーンドバリューの計算結果が表示される

 この状況で、前と同じように「ビジュアルレポート」機能を利用して、アーンドバリューの実績レポートを作成します。1月19〜22日の範囲に絞った表示(画面14)ですが、実際の値がグラフ出力されているのが分かります。Excelのピボットテーブルの機能を使用していますので、もちろん、さらに表示内容や表示項目にカスタマイズを加えることも可能です。

ALT 画面14 アーンドバリュー実績レポート画面

意外と簡単にできるEVM

 「アーンドバリュー分析」と聞くと、途中の計算などを含め非常に面倒な作業が想像されるかもしれません。しかしながら、今回の記事の中で入力したのは、おおむね通常のプロジェクトマネジメントの中でも記録する要素がほとんどであり、アーンドバリュー分析だからと特別な入力項目が加わる部分はそう多くはなかったように思います。ただし、記事の中では説明を簡略化するために最低限の設定内容だけを説明しています。

 もちろん、ここまでは「もともとProjectに用意されていた基本的な設定」を利用した操作ですから、さらに、自身が必要とする指標項目の表示を加えたり、独自に作成した計算式の結果を併せて分析したり、可能性はいくらでも広がっていきます。

 皆さんも、今回の記事を機に、これまで蓄積したマネジメントスキルにアーンドバリュー分析の視点を加えてマネジメントに生かしてはいかがでしょうか。

筆者プロフィール

高田 淳志(たかだ あつし)

株式会社オープントーン 取締役。これまでさまざまな立場(発注企業の情報システム部門、開発元請会社・下請会社)で、さまざまな役割(プログラミングから業務改善コンサルテーションまで)でシステム開発にかかわってきた。現在は、「関係者全員が満足できるマネジメント(手法や体制)ってどうあるべきだろう?」と考える毎日を過ごしている。


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