スイッチングコスト(すいっちんぐこすと)情報システム用語事典

switching cost / 乗り換え費用

» 2010年01月01日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ある製品やサービスの利用者がその製品・サービスを他社のものに乗り換えようとするとき、負担しなくてはならない金銭や手間・時間、心理的抵抗感、リスクなどのこと。

 例えば、WindowsパソコンからMacintoshに乗り換える場合、直接的な買い替えの費用のほか、環境設定などを行う手間、使い方を覚える時間が必要なほか、従来使っていたソフトウェアや周辺機器が使えなくなるという負担が発生することが考えられる。こうした乗り換えに掛かる(マイナスの)価値をスイッチングコストという。「慣れている」「愛着がある」「よく分からないものを購入して失敗するのは嫌だ」といった感情やリスク感などの金銭的に還元できない価値も含まれる。

 スイッチングコストが大きい製品・サービスは乗り換えが発生しにくく、継続して利用される可能性が高いので、商品・サービスの提供者はスイッチングコストを大きくする戦略を取る場合がある。マイレージなどのフリークエンシープログラムや携帯電話会社による長期契約時の割引率を大きくする料金体系などがこれに該当する。

 しかし無暗にスイッチングコストを高くしても、利用者にとっては乗り換えられないという不便を負うことになるため、最初から選択・購入しないということも考えられる。

参考文献

▼『ネットワーク経済の法則――アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針』 カール・シャピロ、ハル・R・バリアン=著/千本倖生=監訳/宮本喜一=訳/IDGコミュニケーションズ/1999年6月(『Information Rules: A Strategic Guide to the Network Economy』の邦訳)


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