明日のシスアド像を探る1日〜シスアド研修会レポートIT戦略トピックス(Topics: Report)(1/4 ページ)

資格試験の変更によって、上級システムアドミニストレータ連絡会から日本システムアドミニストレータ連絡会に変わった同会は3月13日、東京・秋葉原で東京研修会を開催。「シスアド、これからどう進化する?」をテーマに講演を行った。

» 2010年06月03日 12時00分 公開
[大津 心,@IT]

 日本システムアドミニストレータ連絡会は3月13日、東京研修会を開催し、「シスアド、これからどう進化する?」をテーマに講演を行った。

 実際のシスアドたちが、どのように活躍しているのかを知りたい読者の方は、ぜひ@IT情報マネジメントの「目指せ!シスアドの達人」や「こちらなにわ電機 総務課」を読んでみてほしい。

コミュニケーションの極意は“段取り8割、現場2割”

 基調講演では、グロービス経営大学院大学 客員准教授の内山英俊氏が「現場のIT人材に求められるコミュニケーションスキル」と題した講演を行った。

 内山氏は、米プライスウォーターハウスクーパースや米A.T. カーニーなどITコンサルティング企業に従事した後、現在ANALOG TWELVE取締役とグロービス経営大学院大学の客員准教授を兼務している。

グロービス経営大学院大学 客員准教授 内山英俊氏

 同氏は永年ITコンサルティングに携わった経験から、「本来あるべきIT部門と現実のIT部門には大きな隔たりがある」と指摘。IT部門は本来、リーダーシップを担う「経営部門」や、オーナーシップを持つ「事業部門」と明確に役割分担し、イノベーションの中心的役割になるべく強力な調整機能を持つべきであり、「経営、事業部門、IT部門」がそれぞれ三角形の頂点としてパワーバランスを成り立たせているべきだと主張した。

 しかし、現実には「経営→事業部門→IT部門」という社内発注構造ができあがっており、IT部門には社内ベンダとしてさまざまなしわ寄せが来るだけでなく、社内的立場も低くなっている。

 その背景には、現在のIT部員の多くがコミュニケーションスキルよりも業務知識やITスキルを重視する傾向が強く、“求められている能力”と“得意な能力”にギャップが生じてしまっていることが大きな要因として考えられるとした。

 内山氏はこの点について、「現在のIT部門にとって、事業部門は完全に社内のお客さんだ。本来であれば、高いコミュニケーション能力をもって調整機関になるべきIT部門が、ただの御用聞き状態になっている。「これでは社内のITが弱くなって当然だ」と分析し、コミュニケーション能力を強化する必要性を訴えた。

コミュニケーションの失敗原因は7種類

 コミュニケーションの問題は、「結論がはっきりしない」「表現があいまい」「主語が不明確」「質問に直接的に答えない」「話の内容が変わっていく」「複数の観点から無理やり説明」「主張と根拠がない/分からない」という、7種類の代表的な原因に分類できる。コミュニケーション能力を強化するためには、この問題を意識して修正することが非常に重要だという。

 例えば、「結論がはっきりしない」という問題がある場合、「賛成なのか反対なのかが分からない」「話の中で賛成と反対が揺れてしまう」「自分の立ち位置を明確にしない」といった原因がある場合がほとんどだという。「表現があいまい」な場合であれば、「趣旨がつかみきれない」「状況次第でどちらともとれる内容」といった原因が考えられる。

 「主語が不明確」という問題では、「誰の意見なのか分からない」「話に主体性がない」といった間違いがよく起きる。「質問に直接的に答えない」では、「質問の背景や理由から話し始めてしまい、いつまでたっても結論が出ない」「結論を伝えず、違う内容について話す」などが問題となる。「例えば、『昨日参加したイベント面白かった?』と質問したのに、多くは自分の興味あるものから話してしまう。その結果、『で、結局何が面白かったの?』という状況に陥る。結論が出ない状態になりやすい」(内山氏)と説明する。

 「話の内容が変わっていく」では、「好きなところから好きなように話してしまう」「ある話の内容に触発されて別の話に突入することを繰り返す」といった問題が発生するとした。一方、「複数の観点から無理やり説明」では、「同じことを言っているのに、無理やり複数の観点から説明してしまう」「多面的に説明することが重要だと勘違いしてしまう」といった問題が発生している。そして、最後の「主張と根拠がない/分からない」では、「主張は分かるが根拠がない/分からない」「主張が分からない(事例や例え話が入って分からなくなる)」といった問題が発生しやすいと指摘した。

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