真の実力を引き出す仮想化構築・運用術とは?リポート 仮想化構築・運用イベント(3/4 ページ)

» 2010年08月23日 12時00分 公開
[吉村哲樹,@IT]

米国で高い実績を持つ仮想化運用管理ツール

 3番目のセッションでは、クエスト・ソフトウェア株式会社 システムズ・コンサルティング部 マネジャーの石井洋介氏から、同社が提供する「Vizioncore」ブランドの仮想化関連ソリューションの紹介が行われた。

クエスト・ソフトウェア システムズ・コンサルティング部 マネジャー 石井洋介氏 クエスト・ソフトウェア システムズ・コンサルティング部 マネジャー 石井洋介氏

 米Vizioncoreは、主に仮想化環境の運用管理ソリューションを提供するベンダである。同社は米VMwareと密接なパートナー関係にあり、米国の仮想化運用管理ツール市場では高いシェアを持つ。2007年に同社は米Quest Softwareの完全子会社となっており、さらに2010年後半には吸収合併される予定になっているという。

 日本市場においては今後、Quest Softwareの日本法人であるクエスト・ソフトウェア株式会社からVizioncoreの各種製品が提供される。本セッションでは、その中から仮想化環境のパフォーマンスのモニタリングと分析機能を提供する「vFoglight」、そしてデータバックアップ・リカバリを支援するツール「vRanger」の紹介が行われた。

 vFoglightは、VMware製品により構築された仮想化環境のパフォーマンス監視を支援するツールである。石井氏は、同製品の特徴を以下のように説明する。

 「VMwareの管理製品であるvCenterやvSphereの機能を拡張して、管理者にとっての使い勝手をより高めるものだとイメージしていただければと思う」

 vCenterでも仮想化環境のパフォーマンスをモニタリングすることはできるが、vFoglightを導入すればその作業をより高い次元で自動化し、かつ可視性を高めることができるという。複数のvCenterから取得した情報を一元管理して同じ画面上に一括表示でき、またアラート通知のしきい値もvCenterと比べるとより細かく、かつ柔軟に設定できる。

 さらに、仮想マシンを異なる物理サーバ上に移動させた場合のパフォーマンスをシミュレーションする機能も備え、キャパシティープランニングに活用することも可能である。

 一方のvRangerは、仮想化環境におけるデータのバックアップとリカバリを簡単に、かつ迅速に行うことを可能にするツールである。シンプルで直感的なGUIと、独自のデータ圧縮技術と転送技術による高速なデータ転送が特徴だ。

 どちらの製品も、現在は英語のユーザーインターフェイスのみとなっているが、今後は随時日本語化作業を進めていくという。また、現在はVMware製品にのみ対応しているが、MicrosoftのHyper-Vへの対応も現在検討中だという。

仮想化環境の運用管理効率化に不可欠な自動化・標準化

 4番目のセッションでは、株式会社野村総合研究所(以下、NRI) システムマネジメント事業本部 主任の寺井忠仁氏から、同社のシステム運用管理製品「Senju Family」を活用した仮想化環境の運用管理ソリューションについて紹介が行われた。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部 主任 寺井忠仁氏 野村総合研究所 システムマネジメント事業本部 主任 寺井忠仁氏

 寺井氏は講演の冒頭で、システム運用管理の業務が増え続けている現状について次のように説明する。

 「ベンダ主導で簡単な手順に従ってシステムの管理やトラブル対応を行っていたメインフレーム時代から、マルチベンダ化やITILによる運用標準化という変遷を経て、現在では企業戦略を基にした価値の高いITサービスの提供へと、システム運用管理に求められる役割が高度化している」

 同氏はさらに、こうした現状に対応するためには運用管理業務の効率化が急務であり、仮想化環境においては「監視・制御の効率化」「運用プロセスの改善・標準化」「運用の自動化」という3点が重要なポイントになると述べる。また、NRIが提供するSenju Familyでは、これら3つの課題それぞれに対して有用な解決策を提供するとして、具体的なソリューションについて説明を行った。

 まず監視・制御の部分に関しては、「Senju Operation Conductor」という製品で、運用管理効率化のためのソリューションを提供する。具体的には、ハイパーバイザーやホストOS、仮想マシンといった、仮想化環境に特有の監視対象ノードに対する豊富な監視項目を提供し、さらにホストOSとゲストOS、アプリケーションの間のリレーションを効率的に管理できる機能を提供している。また、「ランブックオートメーション」と呼ばれる管理タスクの自動化機能も備える。

 次に運用プロセスの改善・標準化に関しては、「Senju Service Manager」という製品が支援策を提供する。同製品を導入し、ITILに準拠した情報共有の仕組みを構築することにより、仮想化導入で複雑化する社内承認プロセスを効率化することができるという。

 さらに、この2つの製品を組み合わせて運用することにより、運用管理プロセスの高度な自動化が実現するという。何らかのインシデントが発生した場合、その対応作業の承認プロセスをSenju Service Managerが自動実行し、その結果をSenju Operation Conductorに自動的に反映、先述のランブックオートメーション機能が対応作業を自動的に実行する。

 「このようにしてSenju Familyの各製品を連携させることにより、仮想化環境の運用管理効率化に不可欠な自動化・標準化を実現することができる」(寺井氏)

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