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» 2012年02月16日 12時00分 UPDATE

レポート ビッグデータセミナー:情報爆発時代、いかに大量データを収益につなげるか (1/2)

@IT情報マネジメント編集部では2011年11月30日、東京・秋葉原の富士ソフト アキバプラザで、第14回 @IT情報マネジメントカンファレンス「〜情報爆発時代、いかに大量データを収益につなげるか〜ビッグデータの活用意義と、収益向上へ導くキーテクノロジ」を開催した。ここではその要点をレポートする。

[唐沢正和,@IT]

 近年、企業を取り巻くデータ量が増大している。だが、めまぐるしく変わる市場環境に追従するためには、従来からある構造化データだけではなく、ソーシャルメディア上のテキストデータなど、非構造化データも活用対象としなければならない。

@IT情報マネジメント編集部からのお知らせ

大量・多種類のデータから、どうすれば“ビジネスの価値”を引き出せるのか? ビジネス/テクノロジサイドが同じ目的を見据え、収益向上、ブランディングにつなげる“現実的なポイント”を伝授!第16回@IT情報マネジメントカンファレンス『ROI最大化、収益向上に寄与するビッグデータの真意と活用の鍵』を3月8日(木)に開催します! 詳しくはカンファレンス紹介ページ


 こうした「大量データを収益向上に生かす取り組み」として「ビッグデータ」という言葉が注目されているが、大量・多種類の情報を効率的に収集・蓄積し、分析、予測するなど、データを眠らせず、積極的に生かしていくためには、具体的にどうすればよいのだろうか? 費用対効果を担保できる活用のツボとは何か? ツボの実現手段にはどんなものがあるのだろうか?

 そこで@IT情報マネジメント編集部では本企画を立案。収集・蓄積、共有、分析といったビッグデータ活用の在り方と意義を基礎から解説。活用のポイントを、実現手段となる具体的なソリューションとともに紹介した。今回は、カンファレンスで紹介された知見を、より多くの企業にご活用いただけるよう、その内容を要約してお伝えしたい。

情報活用トレンド2011:ビッグ・データへの挑戦

 まず基調講演には、ガートナー ジャパン リサーチ部門 マネージング バイスプレジデントの堀内秀明氏が登壇し、企業はビッグデータをどのように活用していくべきなのか、その指針を示した。

 堀内氏は、まずビッグデータとは、単に「膨大な量のデータ」を意味するだけではないことを指摘。企業の情報基盤としてビッグデータを活用するためには、量に加えて「多様性」「複雑性」「速度」という4つの要素を考慮する必要があるという。

ガートナー ジャパン リサーチ部門 マネージング バイスプレジデント 堀内秀明氏 ガートナー ジャパン
リサーチ部門 マネージング バイスプレジデント
堀内秀明氏

 「情報量の増大とともに、動画やテキスト、センサデータなど、情報ソースはますます多様化が進んでいる。また、同じデータが複数の異なる基準に準拠した形で存在するなど、データの複雑性も増している。企業にとって最も重要なことは、こうしたビッグデータの発生・判断に要する時間を短縮し、リアルタイムに活用していくことだ」

 堀内氏はこのように述べ、ビッグデータを活用した一例として、IBMの質問応答システム「Watson」が米国のクイズ番組で最高金額を獲得した事例を紹介した。

 また、ビッグデータに対処するためのテクノロジとして、「従来までのデータ処理は、RDBMSに依存した集中処理が中心だったが、ビッグデータに対しては分散処理が必須であり、この分散処理を容易に行うためには、Hadoopやインメモリグリッドなど、RDBMS以外の複数のテクノロジを組み合わせたデータ管理基盤を構築することが求められる」と解説した。

 ではこうした中、企業はビッグデータをどのように活用していけば良いのだろうか。これに対して堀内氏は、「多くの企業はビッグデータを使って『実績の確認』を行っているのが現状。ここから『将来の予測』『資源の最適化』『隠れた事実の発見』へと活用を広げ、ビジネスの変革につなげていくことが重要だ」と指摘。また、ビジネス変革に向けたポイントとして、(1)情報入手の可能性を吟味する、(2)成果に対して誰が責任を持つのか明らかにする、(3)導入はゴールでなくスタートである、(4)新たな情報ソースに対応する、といった点を挙げた。

 最後に、堀内氏はガートナーの推奨するビッグデータ活用法を紹介。「まずは、事実情報の迅速な提供という視点で、情報提供の在り方を見直すこと。次に、データ処理・分析のパフォーマンスに問題が生じる怖れがある場合は、並列分散処理やインメモリ処理の採用を検討すること。そして、既存データ処理の高速化に加え、どのようなデータが自社ビジネスを強化するために有益か、幅広く検討を行うこと。これによって、膨大なビッグデータからビジネスに変革をもたらす貴重な情報を見いだせるようになるはず」とまとめた。

サーチアプリケーションがビッグデータを可視化する

 ベンダによるセッションでは、まずウチダスペクトラム SMART/InSight事業推進グループ ゼネラルマネージャーの財前潮氏が登壇し、ビッグデータをビジネスユーザーが使いやすい形に可視化するサーチアプリケーションについて紹介した。

ウチダスペクトラム SMART/InSight事業推進グループ ゼネラルマネージャーの財前潮氏 ウチダスペクトラム
SMART/InSight事業推進グループ
ゼネラルマネージャーの財前潮氏

 ビッグデータのサーチテクノロジとして、近年多くの企業に採用されているのが、オープンソースの大規模検索ライブラリ「Lucene」と、それをWebインターフェイスで利用可能とする「Solr」だ。ウチダスペクトラムでは、「Lucene/Solr」を扱う米Lucid Imagination社と提携し、「Lucene/Solr」をベースにしたサーチアプリケーション「SMART/InSight G2 Open」を提供している。

 財前氏は、サーチアプリケーションについて、「構造化データ、非構造化データの双方を扱える点が大きな特徴。また、データをインデックス化することで、既存のデータベースに負荷を掛けることなく、表示も高速に行える。さらに、データチェーンにより、データの関連性を定義し、既存のデータに手を加えず可視化できる」と説明。「従来の全文検索やエンタープライズサーチから一歩進み、企業内に分散したあらゆるデータを横断的に検索、分析、可視化することができ、業務アクションにつなげていくことが可能になる」と、そのメリットを訴えた。

 同社の「SMART/InSight G2 Open」は、すでに45を超えるプロジェクトで活用されており、例えば製造業では品質管理業務、クレーム管理業務、設計業務、購買調達業務などで、SFA/CRM分野では営業業務、顧客情報管理業務、商品企画業務、コールセンター業務などで利用されているという。

 最後に財前氏は、「これからのエンタープライズコンピューティングは、社内のビッグデータをどのように統合し、社外の動きにどう迅速に対応していくかがカギになる。サーチアプリケーションは、その重要な役割を担うことなる」との考えを示した。

ビッグ・データ時代の新しい情報基盤

 2番目のセッションでは、日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 Big data Tigerの土屋敦氏が、ビッグデータ時代に求められる新たな情報基盤とその活用事例を紹介した。

日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 Big data Tigerの土屋敦氏 日本アイ・ビー・エム
ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 Big data Tigerの土屋敦氏

 ビッグデータ時代に求められる情報基盤の要件について、土屋氏は「ビッグデータ時代は、データ量の爆発的な増加と、データ管理の複雑化への対応が不可欠。そのため、これからの新しい情報基盤には、深い洞察を行う“ディープアナリティクス”と、迅速な判断を行う“リアクティブアナリティクス”という、ワークロードごとに適した2つの処理が必要になる」との考えを示す。

 これに対して同社では、「ビッグデータを処理するためのプラットフォーム製品として、『InfoSphere Streams』と『InfoSphere BigInsights』の2つのシステムを提供している」という。

 「InfoSphere Streams」は、大流量のデータを瞬時に分析処理するストリームコンピューティングを実現するミドルウェアで、“リアクティブアナリティクス”をカバーする。動的なデータをリアルタイムに分析し、直近の事実を発見することが目的だ。土屋氏は、その具体的な事例として、ウプサラ大学スウェーデン宇宙物理学研究所、スウェーデン王立工科大学、インドの大手テレコム会社における活用例を紹介した。

 一方、「InfoSphere BigInsights」は、大量に蓄積されたデータを処理するHadoopベースのエンタープライズ向けシステムで、“ディープアナリティクス”をカバー。バッチ処理の並列化(高速化)や、履歴データ(ログ)および非定型データの有効活用を実現する。活用事例としては、大手クレジットカード会社、デンマークの風力発電会社ヴェスタスのケースが紹介された。

 土屋氏は「重要なのは、これらの新たな情報基盤を既存システムと融合させ、大量のデータから新たな考察を得ることだ。ビッグデータという宝の山から、金脈を見つけ出すことを目指してほしい」と提言した。

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