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» 2012年10月16日 12時00分 UPDATE

情報マネージャとSEのための「今週の1冊」(108):あなたには確固たる「ミッション」があるか?

われわれは何のために働くのか。働き方や働くスタイルばかりが取り沙汰される昨今にあって、スターバックスコーヒージャパンの元CEOは、ミッションを持つことの大切さを説く。

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由

ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由

著=岩田松雄
発行=アスコム
2012年10月
ISBN-10:4776207451
ISBN-13:978-4776207450
1400円+税
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 長引く景気低迷によって日本経済の先行きによりいっそうの不透明感がただよう現在、「何のために」ではなく、「どのように働くか」という働き方やスタイルを重視する人たちが増えてきた。“フリーランス”や“ノマドワーカー”の文字を連日メディアなどで目にする機会も多い。そうした状況の中、自分の働くスタイルばかりを考え、なぜ働くのか、自分の使命は何なのかを考える人は少ないと著者は指摘する。

 本書はそのタイトル通り、個々人あるいは企業が揺るぎない「ミッション」を持つことの大切さを語った1冊である。

 著者は、自然派化粧品を扱うショップ「THE BODY SHOP」の日本社長、さらには、スターバックスコーヒージャパンでCEOを歴任した人物。BODY SHOPでは、社長就任後、店舗数を107店から175店に拡大し、売り上げを約2倍にした。スターバックスでは、当時の厳しい業績を改善すべく、全日空(ANA)との提携、新商品VIAの発売、店舗内のWi-Fi整備など、新たな取り組みを矢継ぎ早に打ち出し、業績回復に貢献した。スターバックスでの改革において、著者が掲げたのが「100年後も輝くブランド」になるというミッションである。

 なぜスターバックスはこれほどまでに世界中で愛されているのか。スターバックスと他のコーヒーショップとの違いは何なのか。こうした問いに対して、スターバックスという企業と、そこで働く人たちにミッションが深く浸透しているからだと著者は答える。具体的に、同社は次のようなミッションステートメントを持つ。

 「To inspire and nurture the human spirit――One person,one cup,and one neighborhood at a time」(人々の心を豊かで活力あるものにするために――ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから)

  • お互いに尊敬と威厳を持って接し、働きやすい環境を作る
  • 事業運営上での不可欠な要素として多様性を積極的に受け入れる
  • コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、常に最高級のレベルを目指す
  • お客様が心から満足するサービスを常に提供する
  • 地域社会や環境保護に積極的に貢献する
  • 将来の繁栄には利益が不可欠であることを認識する

 こうしたミッションを同社で働くすべての人たちが心から常に意識し、「自分は何のために働くのか?」「どこに向かってビジネスをしているのか?」と持続的に問い掛けていることが、結果的に他社との違いを生み出し、一流のブランドを築き上げているのだという。また、このミッションを基に、一人一人が自発的に行動することが、最高の顧客経験(カスタマー・エクスペリエンス)を生み出すことにつながっているのである。本書の中では、「交通事故と1杯のコーヒー」「早朝のシナモンロール」といった感動的なエピソードが紹介されている。「顧客がお金を出して買い求めているものは、コーヒーだけでなく、スターバックス・エクスペリエンスなのだ」と著者は力を込める。

 このように、感動の経験を顧客に提供するスターバックスは、単にコーヒーを売るだけのサービス業ではない。従って、ライバルはタリーズコーヒーやドトールコーヒーではなく、同じく感動を売るディズニーやリッツ・カールトンなのだと述べられている。

 かつてのように簡単にモノが売れなくなった時代に突入し、企業は改めてカスタマーサービスや顧客経験の重要性を認識し始めている。ただし、顧客が求めているのは、上っ面だけのサービスではなく、確固たるミッションを持った、“真”のサービスであることを本書から学ぶことができよう。

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