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IPv6ベースの「FLET'S.Net」がスタート

» 2004年01月07日 15時22分 公開
[RBB Today]
RBB Today

 FLET'S.Netが1月6日よりサービス開始となった。IPv6ベースになったというこのサービスは、フレッツ上にもうひとつのネットワークを組み立てたという言い方がまさに最適のネットワークだ。

「回線接続ではなく、端末接続。端末間でコミュニケーションするためのネットワーク」(NTT東日本 フレッツサービス推進室 IP市場開拓担当 担当課長 石川達氏)

 というほど、FLET'S.Netは端末間でのコミュニケーションを意識したサービスだ。しかも、ブロードバンド環境を考慮したしたIPv6ネイティブ環境を提供する。その結果、より高速で高品位のネットワークコミュニケーションサービスともとらえられるだろう。

 これまでIPv6ネットワーク網には、具体的なアプリケーションが欠けており、いまひとつ実験的要素から抜け出せていなかった感が強かった。ところが、FLET'S.NetはP2P型コミュニケーションツールという具体的なサービスを用意することで、利用用途を明確にした。また、明確なサービスを提供するだけではなく、IPv4環境との共存やルータの設定、相手先端末の名前解決とIPv6ネットワークを使うにあたり障害にもなっていたいくつかの部分も解決し、サービスとして成立させた。

 そのFLET'S.Netのサービスをひとつずつ見ていこう。まず、具体的なアプリケーションとして、FLET'S.Netはファイル転送、ビデオチャット、ファイル共有という3つの機能を提供する。ファイル転送は、メッセージを転送するためのもので、ビデオチャットはコミュニケーションをするためのもの、そしてファイル共有はストレージ上にファイルを置くことで、グループ間やほかのFLET'S.Net利用者とファイルを共有する機能だ。それぞれのサービス自体は決して目新しいものではない。しかし、IPv6ベースで具体的な利用方法をエンドユーザに提供したという事実は非常に大きい。また、IPv6と既存環境を共存するために生じるややこしい問題点も同時に解決したことも大きい。

 その解決した問題であるが、FLET'S.Netが提供するアプリケーションの中で、ファイル転送とビデオチャットはP2P型サービスのため、相手先の端末のIPアドレスが判明しないと接続ができない。このため、FLET'S.Netは長いIPv6アドレスを使う代わりに、独自に名前解決をしたFdNネーム(フレッツ・ドットネットネーム)を利用する。FdNネームはflets.netドメインを使ったもので、ホスト名部分を申請して自由に名前を決められる。メールアドレス同様にFLET'S.Netでは個人を特定できる名前としてとらえられており、FdNネームも早いもの勝ちで割り当てられる。

「FdNネームはパソコン通信でのハンドル名みたいなもの」(NTT東日本 フレッツサービス推進室 IP市場開拓担当 担当課長 石川達氏)

というように、FLET'S.Netでは接続先を決めるときに共通したFdNネームを使う。こうすることにより、動的に割り当てられるIPアドレスを日々交換する必要がなく、いつまでも変わらないFdNネームを使ってコミュニケーションを楽しめるようになるわけだ。

 FLET'S.Netが解決したものはもうひとつある。それは、従来のインターネット接続とIPv6ネットワークであるFLET'S.Netを共存させたことだ。これまでであれば、IPv6ネットワークに接続するとなると、IPv6対応のルータを導入したり、IPv6を利用できるようにPCをセットアップするといった作業が必要だった。ところが、FLET'S.Netの場合は、Ethernetケーブルを一本用意し、従来のブロードバンドルータの接続状態を若干変えるだけで、既存のIPv4セキュリティはレベルは保ったまま、FLET'S.Netサービスが利用できるようになっている。つまり、FLET'S.Netを使うためにネットワークの線を切り換えたり、新たな機器を購入する必要がまったくない。つまり、接続するために従来環境との共存という問題も解決した、新しいタイプのIPv6サービスともいえる。しかも、利用料金は300円とだれもが手軽に利用できる価格になっている。この手軽さがあれば、メールアドレスを交換するようにFdNネームを交換するような世界がやってくるかもしれない。

 なお、FLET'S.Netを利用するには、Bフレッツ、もしくはフレッツ・ADSLに加入している必要がある。また、本日より利用できるエリアは東京・神奈川・千葉・埼玉の一都四県。申し込みは、専用ソフトを使う。なお専用ソフトはFLET'S.NETからもダウンロードできるようになっている。