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「萌え系オンラインRPG」Seal Onlineで、赤い○○やア○ロと戦ってみたレビュー:「Seal Online」

» 2004年02月17日 23時20分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]

 2003年のある日、ネットゲームマニアを自認する記者にとって、見逃せない記事が掲載された。

 「(国内で最大規模のオンラインRPGである)ラグナロクオンラインを超える」――運営を担当するエキサイトが、ここまで自信をみせるオンラインRPGが登場するというのだ。そのタイトル名は「Seal Online」。日本人になじむ“萌え系路線”のキャラクターを売りに、ヒットを飛ばしたラグナロクオンライン同様、キャラクター性を前面に打ち出したゲームだという。

 Seal Onlineは、韓国グリゴンエンタテイメント社が開発した多人数オンラインRPG。韓国では、オープンから5カ月で110万人のユーザーを集めた注目作だ。国内でのオープンβ開始日は、2003年の12月23日だった。時、折しも正月休み直前。久方ぶりの引きこもりネットゲーム生活を満喫するチャンス――というわけで、正月休みをSeal Onlineに捧げてみた。

小さなお友達から大きなお友達まで?

 実際に遊んでみて一番気に入ったのは、やはりキャラクター、特にモンスター(ゲーム内では、「バイル」と呼ばれる)の個性だった。モンスターは、戦闘中と戦闘終了時、セリフをしゃべることがある。それが非常にツボにはまった。

 例えば、トイレのスッポン(通水カップ)型の武器を手にした「赤いフンコロ」というモンスターが出てくるのだが、「赤い」という形容詞は伊達ではなく、「これでは道化だよ……」「貴様もやるようになったな」「戦いとは常に二手、三手先を読んで行うものだよ!」などなど、ITmedia読者にはおなじみの“彼”を思い出させるセリフを吐くのだ。記者がほかのモンスターの3倍、赤いフンコロを倒すのに躍起になったのは言うまでもない。

Photo (クリックで拡大)

 また、赤いフンコロの強化版として「青いフンコロ」「金のフンコロ」というモンスターも用意されている。ただし、青いからといって「赤とは違うのだよ! 赤とは!」と強調したり、金だからサングラスをかけて「今の私は金のフンコロだ」といったお約束のセリフは話してくれない。がっかりしないように。

 赤いフンコロ以外にも、ITmedia編集部読者好みのモンスターが登場する。髪の毛がアフロヘアーの「アフロ」は「この! 親からも殴られたことないのに!!」などと、これまた著作権ギリギリのところを攻めてくる。

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 このほか、倒されると真っ白になって燃え尽きる「カイコのジョー」など、Seal Onlineには大人のプレイヤーウケを狙ったようなモンスターが何種類か登場する。愛らしさに引かれる小さなお友達から、ネタを求める“大きなお友達”まで、万人が楽しめるキャラクター性だと思う。

独り遊びでも面白い

 Seal Onlineには、ネットゲームが新しい段階に入ったのだと感じる機能がある。同作では、戦闘中にタイミングよくボタンを押していくことで、「コンボ攻撃」が発動する。タイムラグの心配がある程度なくなった、ブロードバンド時代ならではの機能だろう。

 コンボ中は、こちらの攻撃と攻撃の間にできる待機時間が短縮され、攻撃速度が向上するばかりか、正確に最後まで入力しきると、必殺技の名前を叫んでくれる。

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 ちなみに必殺技には、「竜巻疾風脚!」「天上! 天下! 念動! 爆砕!」といった多少恥ずかしさを覚えるような名称が多く、必殺技が成功すると周囲のプレイヤーにもその叫びが伝わる。それ故、コンボ攻撃を知らないプレイヤーから「『竜巻疾風脚』だなんて恥ずかしいセリフをよくも吐けるものだ」なんて白い目を向けられる恐れも。

 キャラクターの個性、コンボ攻撃のほかに、もう一つSeal Onlineの特徴を挙げるとすれば、「クエスト(冒険中に与えられる任務)の豊富さ」になるだろう。ネットゲームを初めてプレイして「何から始めればいいか分からない」と悩む人は多いと思うが、同作は「聖剣の製作者を探せ」「英雄を追え」といったクエストが多数用意されている。このため、従来型のRPGのように「レベルを上げてクエストをこなす」という流れでプレイできる。

 プレイヤーにクエストを課すオンラインRPGも多いが、Seal Onlineのクエスト数は群を抜いていると思う。Seal Onlineは元々、韓国のPC用RPG「SEAL〜運命の旅人〜」の世界をネットゲーム化したもの。ネットゲームを通して、オリジナルの世界観・ストーリーに触れながら、ここまで楽しめたのは、個人的にはSeal Onlineが初めてだった。

 ただし、やや改善の余地がある部分もある。ゲーム内で使えるチャットルームなど、コミュニティーを意識した機能を実装してはいるものの、「Seal Onlineならでは」の面白さに欠けているように感じた。たとえば、リネージュの攻城戦システムのようにほかのプレイヤーと協力して城を奪い合ったり、ガンダムネットワークオペレーション(GNO)のように成績優秀なプレイヤーのチームに高性能モビルスーツを支給したりといった、コミュニティーを活性化させる仕掛けがもう少し必要ではないか、という感想をもった。

 もちろん、これはβテスト中ということも考慮に入れなくてはならない。今後の展開を期待したい。

ラグナロクを「食える」?

 「ラグナロクを超える」という歌い文句に引かれて始めた以上、ラグナロクとの比較に触れないわけにはいかないだろう。

 かわいい路線のキャラクター、レベルアップ後に好きな能力値にポイントを振って、自分のキャラを成長させるシステム、街の広場に密集する露店(プレイヤーがほかのプレイヤーにアイテムを販売するための店)など。ほかにこうした特徴を持つオンラインRPGも多いものの、先入観も手伝ってか、やはり似ていると感じるところは多々ある。

 正式サービス開始後、1年以上が経過しているラグナロクと、いまだβテスト段階のSeal Online。両者のいずれが優れているか、単純に比較することはできない。

 ただ、ゲームプレイ中にたまたまラグナロクオンラインから流れてきたユーザーの会話を立ち聞きしたのだが、そのプレイヤーは「RO(ラグナロクオンラインの略称)には飽きてきたし、昼夜の設定があったりするSeal Onlineの方が面白い」と話していた。

Photo 昼夜の設定以外にも、季節イベントに合わせた特別なグラフィック(節分なので空から豆が降る)を用意するなど、芸が細かい

 従来型のゲームと比較して、オンラインゲームは飽きにくいと言われる。しかし、さすがに同じゲームを1年も続けていれば、飽きるユーザーも出てくるだろう。そんなタイミングで登場したSeal Onlineが、「ラグナロクを超える」といえないまでも、ラグナロクユーザーの受け皿となり、「ラグナロクを食う」可能性は、十分にあると思う。

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