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各社が“ユビキタス”の方向性を示す〜enNetforumフォーラム

» 2004年03月22日 18時59分 公開
[RBB Today]
RBB Today

 “ユビキタス”が差す意味は大変広いが、enNetforumが開催したフォーラムでは各社の考えが見えてきた。

 enNetforumは第2回目のフォーラムにて、パネルディスカッション「『本当に来るのか?ユビキタス』−ユビキタス・サービス・プロバイダの時代−」を開催した。

 ここでは、インターネット総合研究所(IRI)の藤原洋氏をデモレータとして、IPv6普及・高度化推進協議会/IRI/タウ技研の荻野司氏、日本電気(NEC)の平田英之氏、松下電工の藤原憲明氏、NTTドコモの森山浩幹氏が登壇し、議論を交わした。

左からIPv6普及・高度化推進協議会/IRI/タウ技研の荻野司氏、日本電気(NEC)の平田英之氏、松下電工の藤原憲明氏、NTTドコモの森山浩幹氏

 パネルディスカッションでは、デモレータの藤原氏が「ユビキタスで決め手になる技術を2つ挙げてください」とパネリストに問いかけた。

 これに対し荻野氏は、「シームレス環境を構築する技術」「安全、簡便なセキュリティ」の2つを挙げた。ここで言うシームレス環境には、RFIDタグ、位置情報、センサーネットワークなどが含まれている。一方のセキュリティでは、認証技術としてバイオメトリクスを挙げ「キーボードが打てなくても携帯電話が使えなくても認証できるため、“デジタルデバイド”の解消にもつながる」とユビキタスの方向性を示した。

 また意外な技術として「低消費電力化技術」としたのはNECの平田氏だ。「ユビキタスにおける機器は、動作時間よりも待ち受け時間が長い場合が多い」としたことによるものだ。

 「さまざまな端末を結びつける技術が重要だ」としたのは松下電工の藤原氏だ。これは、ビル内や家庭内の照明や空調機器を制御する「EMIT」を展開する中で出てきた考えだろう。これら機器では、IPを持っていない状態があったり、無線やPCL(電力線通信)などさまざまなインフラが絡んでくることになる。そのため、相互に接続する技術が重要になるとした。

 NTTドコモは、モバイルの潜在需要として自動車、ペット、オートバイ、情報家電などあらゆる機器に通信機能を内蔵することを示した。しかし「電話は固定から携帯になり、ファミリーから個人に移ったがちょっと行きすぎたかもしれない。ユビキタス社会では、個人からファミリーに戻すことも必要」(森山氏)とし、人と人とのコミュニケーションサービスの重要性も訴えた。

デモレータの藤原氏

 最後にデモレータの藤原氏が「USP:Ubiquitous Service Provider」との概念を示した。これまで接続性のみを提供していたISP(Internet Service Privider)と対比させた言葉だ。

 具体的には、コンテンツは「玉石混合の状態から“玉”だけを取り出して提供できる仕組み」、プラットフォームは「Windowsパソコンが中心だったところから、一般の人々から見えないものに」、インフラは「従量課金から定額制に」ということだ。これらが実現できたときに、“ユビキタス”が実現できると示した。