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» 2004年03月31日 21時40分 UPDATE

「神の見えざる手」をサポート――価格.comの“クチコミ”パワー

新旧製品の最新価格情報を入手できる「価格.com」。もう1つの大きな魅力に“口コミ”による掲示板の充実ぶりがある。この巨大ネットコミュニティが「神の見えざる手=市場」を動かし、数々のヒット商品を生み出した事例などについて、カカクコム社長が語った。

[西坂真人,ITmedia]

 何か製品を購入しようと思いたった時、検索サイトで「価格」「kakaku」と入力してみた経験は誰しもあるだろう。そんなユーザーが必ずといっていいほど行き着くサイトが「価格.com(http://www.kakaku.com/)」だ。最新機種/旧機種問わずに最新の価格情報を入手できるのが同サイトの最大の特徴だが、もう1つの大きな魅力に“口コミ”による掲示板の充実ぶりがある。

 ネットコミュニティビジネスコンソーシアム(NCBC)が3月31日に開催したセミナーで、国内最大級の価格比較サイト「価格.com」を展開するカカクコム社長兼CEOの穐田誉輝氏が講演。ネットコミュニティによる“クチコミ”の影響力と、ヒット商品との関係について語った。

photo カカクコム社長兼CEOの穐田誉輝氏

 価格.comではPC/家電/AVといった価格情報の“王道”から、バッグなどブランド商品、クルマ関係、各種保険まで計14カテゴリーに商品が分けられ、その登録商品数は約7万8000点にも及ぶ。

 「月間480万人のユーザーが訪れ、月間総閲覧数は2億4200万ページビューになる。書き込み数は1日に4000〜5000件にのぼり、トータルでは250万件の書き込みがデータベース化されている。特にPC/家電系商品での書き込みが活発。ユーザーの欲しい情報がユーザーの立場で分かるというのが、評価されているのだろう」(穐田氏)

 価格.comがいかに利用されているかは、各電機メーカーサイトのアクセス調査データでも証明されている。

 ネット調査会社による今年1月の調査データでは、大手電機メーカー8社(ソニー/富士通/東芝/キヤノン販売/松下電器産業/シャープ/パイオニア/エプソンダイレクト)公式サイトを訪れたユーザーが“直前に見ていた”サイトのランキングで、Yahoo!やMSNといった有名ポータルに並んで1〜2位に価格.comがランクインしている。

 「消費者は、価格.comを見てからメーカーサイトに向かうというパターンが定着してきている」(穐田氏)

市場をも動かす“クチコミ”のパワー

 このように巨大ネットコミュニティ化した価格.comが、市場を動かした事例も少なくない。

 例えば、人気のDVDレコーダーでの製品選び。現在、複数のメディア規格が存在しているが、ユーザーが本当に知りたいのは「その機種では結局、どのDVDメディアが使えるのか」という点だ。

 だが、メーカーのパンフレットからは各メディアの特徴や長所/短所は分かりづらく、業界として規格をどう統廃合していくのかといった方向性も見えてこない。さらに困ったことに、DVDレコーダーはハードとメディアの相性問題もあり、VHSなど従来の録画機と同じ感覚で使うとひどい目にあうケースもある。

 「価格.comの掲示板では、具体的な機種名を挙げて“この商品ではこのメディアが使えた”“このメディアでは使えなかった”というように、実際にユーザーが試した“生の意見”を知ることができる。そうした情報が積み重なった結果、メディアの規格(相性)でアバウトに作られていた東芝製DVDレコーダーがクチコミで高い評価を受け、売上げを伸ばしたというケースがあった」(穐田氏)

 そのほかにも穐田氏は、「サイクロン掃除機」や「IH炊飯器」といった実際に使ってみないと良さがなかなか分からない製品が、価格.comの掲示板から火がついてブームになった例をいくつか紹介。そのケーススタディの中には、メーカー自身が当初想定していないような使われ方をされてヒット商品になっている“苦い例”もある。

 「メーカー推奨の使い方ではないが、3万円弱で販売されている某PC周辺機器メーカーのHDDオーディオプレーヤーの内蔵HDDを分解すると、その2倍以上の価格で単品販売されている4Gバイトマイクロドライブとして使えるといった情報が掲示板に流出。該当商品が今も飛ぶように売れている」(穐田氏)

 メーカーとしては正式に開示できない事例も、価格.comに集まる先進的ユーザーはそれを発見してその情報を共有しようとする。それがユーザーにとって望ましいことであれば、クチコミを通じて広まっていく。

 「このようなネットコミュニティによって、今後は広告にはあまり惑わされず、実際にニーズに基づいた価値形成がなされる“完全競争市場”が実現されるのではないだろうか。クチコミ自身が“神の見えざる手(=市場)”をサポートする時代になる。メーカーが“クチコミ”マーケティングをもっと重視してもらえば、エンドユーザーがよりよい商品を安く手に入れることができるだろう」(穐田氏)

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