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地デジ「データ放送」の選挙速報は使えたか?(2/2 ページ)

» 2004年07月16日 09時23分 公開
[佐藤晃洋,ITmedia]
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 とはいえ全くブックマーク機能を用意しなかったフジテレビに比べればまだマシか。フジテレビの場合はいちいちTOPメニューから選挙区や政党を個別に選択しなければならないし、TOPページに自分の選挙区の開票状況を表示するといった機能もない。正直「とりあえず作りました」感が否めなかった。

候補者検索機能はプロフィールも見られる日本テレビが◎

 続いて候補者検索機能だが、これは日本テレビが大きく他局を引き離したといえそう。

 他局の候補者検索が、名前から検索を行うと候補者名と該当選挙区を表示し、そこから選挙区の開票速報にジャンプできるといった程度の機能しかないのに対し、日本テレビは「あいうえお順」の名簿から候補者名を選ぶと選挙区や得票数に加え候補者のプロフィール(しかも一部は顔写真入り)まで表示できるのに加え、選挙区・比例代表の開票速報からも候補者名を選んでプロフィールに飛ぶことも可能。これだけあれば候補者検索としては必要十分な機能を持っているといえ、非常に充実したコンテンツとなっている。

 NHK・テレビ朝日の2局は、共にひらがなで候補者名の先頭部を入れるとそれに該当する候補者の一覧を示すという先頭一致型の検索を採用。検索インタフェースとしては、これはこれでいいと思うのだが、いかんせん日本テレビの作りこみが際立つだけに、見劣りすることは否めない。候補者がもっと多い衆議院選挙などではこういったインタフェースが活きてくるかもしれないが……。

 その他の点では、NHKが「選挙区議席マップ」や「比例代表個人獲得票数上位20名」などの表示機能などメニュー数が多い上、どこの画面からでも青ボタンでメニューを呼び出せるという点が便利だった。民放も機能的には決して負けていないのだが、せっかくの機能がメニューの奥深くに埋もれてしまっていたりするケースも見られ、ややもったいない部分もあった。

速報性はWebに負けないものの、全体的な使い勝手で劣る

 というわけで各局のデータ放送を比較してきたが、全体的な使い勝手としてはNHKが一歩リード。筆者の独断では、以下テレビ朝日、日本テレビ、フジテレビの順といった感じだった。ただ実際使ってみるとテレビ局の速報性の高さ(特にNHK)を思い知る一方で、データ放送の限界も感じざるを得なかった。

 データ放送では、メインの放送とは関係なく自分のお目当ての選挙区の開票速報を随時見ることができるため、最新の開票状況を知るという意味でWebとの比較が重要になる。

 その点で言えば、少なくとも筆者が東京選挙区の開票状況を見ていた限り、データ放送を行っていた各局は新聞社・通信社系のWeb速報に負けない速報を出していた。特にNHKの開票速報の速さは選挙戦中盤以降確実に新聞社・通信社系を上回っていたぐらいだ。

 ただ、データ放送は操作性や1画面に出せる情報量などの部分でPCのWebブラウザに比べると見劣りすることは否めず、画面構成やキーに対する機能の割り当て方などについては、一考の余地があるのではないかと感じる部分が多数存在した。Internetが使える環境にいるユーザは、データ放送よりもWebの方が一般的に使いやすいと感じるケースが多かったのではないだろうか。

 今後、データ放送では、何かしらテレビ局ならではのコンテンツを入れるとか(当選者の第一声など)、出口調査データの提供など、Webでは見られないコンテンツを入れることで差別化を図っていかない限り、どんどんWebに飲み込まれていくのではないか、そんな感を改めて抱いた今回の開票速報だった。

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