ITmedia NEWS >

三菱、寄棟屋根に“ぴったり”の太陽光発電システム

» 2004年08月17日 17時06分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 三菱電機は8月17日、「太陽光発電システム」の新製品を発表した。クリーンエネルギーとして注目を集めている太陽光発電システムだが、屋根の美観を損ねるケースも多い。そこで同社は、複雑な形状の屋根にも効率よく収まる形とサイズを検討。寄棟屋根用の発電モジュール群「MBMシリーズ」を開発した。10月22日より順次発売する。

photo 寄棟屋根のトップ部分に設置する三角形(クラウン)モジュール

 三菱電機では、傾斜屋根用の「MRシリーズ」、陸屋根用の「MFシリーズ」、屋根材型の「MYシリーズ」、そして寄棟屋根用の「MMシリーズ」をラインアップしている。なかでも需要が高まっているのが、住宅の52%(住宅金融公庫の『住宅・建築主要データ』)を占めている寄棟屋根用の製品だ。しかし、単純な形の“切妻屋根”(本を開いて伏せたような形の屋根)などに比べ、4方向の勾配を持ち、複雑な“寄棟屋根”では、太陽電池モジュールの設置スペースに制約が多い。たとえば、三角形の屋根に合わせて四角いモジュールを配置していくと、周囲にジャギーのような段差ができてしまい、発電効率や見栄えが悪くなる。

photo 四角いモジュールだけで三角形の屋根をカバーしようとすると、周囲にデッドスペースができてしまい、美観を損ねる

 従来はモジュールを小型化することで寄棟屋根での設置効率を上げようとしていたが、今回の新製品で三菱は全く逆のアプローチを採用。モジュール形状のラインアップを増やすとともに、各モジュールを大型化した。「日本の寄棟屋根を分析した結果、その多くで昔ながらの寸や尺といった単位が用いられていることがわかった。そこで、形状やサイズを考慮し、大型化した発電モジュールを開発した」(同社)。

 ラインアップは、4寸から6寸勾配の屋根稜線に収まる形状に設計された長方形、台形(左用、右用)、三角形、正方形の5種類。屋根の形に合わせて柔軟に組み合わせることが可能になり、設置時のデザイン性は大幅に向上した。また、形状の異なる各モジュールの固定方法を共通化し、架台などの部品点数を削減。モジュールサイズが大きくなったことも合わせ、施工工数が26%削減できるという。

photo 従来製品(右)よりも大型になった長方形のモジュール(中央)。発電モジュールの単価は、5万7330円〜9万7335円

 三菱電機は、太陽光発電システムの急速な需要拡大に対応するため、2005年4月までに33億円を投資して中津川製作所の飯田工場および京都工場に太陽電池セル・モジュールのラインを増設する予定だ。これにより、年間生産能力は現在の90MW(メガワット)から135MWに拡大。さらに、2006年以降には230MWの生産能力を確立する計画も明らかにした。

 挨拶に立った三菱電機執行役副社長リビング・デジタルメディア事業本部長の大草文夫氏は、「2003年度の太陽電池セル年間生産能力では、三菱は世界6位、国内では2〜3位の位置にいる。230MWの生産体制を整えることで、トップクラスを目指したい」と話している。

photo 三菱電機執行役副社長、リビング・デジタルメディア事業本部長の大草文夫氏

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.