コラム
» 2004年08月20日 07時57分 UPDATE

ワンセグ・モバイルを生かす道 (1/2)

視界不良のワンセグ・モバイルだが、地上波放送事業の公共性に照らして考えれば、活用の道筋はかすかながら見えてくる。広告放送事業の現状の姿との関連で捉えてみることがヒントになりそうだ。

[西正,ITmedia]

コンテンツについての考え方

 ワンセグ・モバイルの“急所”は視聴率の計測が難しいことだ。そのために、2008年までのサイマル放送期間以降、オリジナルコンテンツとして「何を見せるか」が一つのポイントとなっている。ただ、地上波デジタルのマルチ性を生かす方向に軸足を移すことで、ワンセグ・モバイルにも一筋の光明が見出せる可能性があると、筆者は考えている。

 ワンセグ向けオリジナルコンテンツのあり方を模索すればするほど、制作費の捻出をどうするかという懸案事項が重くのしかかってくる。大した制作費をかけずに、ワンセグ用のコンテンツを用意とようとするならば、地上波デジタル放送の特長とも言えるマルチチャンネル化(まだら編成)が可能であることに注目すべきだ。ある意味では、“ワンセグだけのためには番組を作らない”という考え方である。

 地上波デジタルの売り物の一つである「まだら編成」について簡単に説明すると、例えば19時から21時まではハイビジョン1チャンネルで、プロ野球中継をしていたとする。ところが21時になっても試合は終わらない。一方、21時からは連続ドラマが放送される編成になっていたとする。

 野球ファンは21時以降も試合の続きが見たいし、逆に、ドラマのファンは予定通り21時からドラマを予定通り見たい。この両者のニーズに応えるために、21時以降は標準画質にしてチャンネルを分割し、片方のチャンネルでは野球中継を続け、もう片方のチャンネルではドラマの放送を始める。

 このように、高画質放送(HD)と、マルチチャンネル化が可能な標準画質放送(SD)を、必要に応じて切り替えるのが地上波デジタルの「まだら編成」である。

 それと同じ発想でワンセグに流すコンテンツを考えると、当然のことながら家の外で見て意味のあるものになるのは、基本的にはニュースを中心とする“情報系”のものになるだろう。地上波が固定テレビ向けに「まだら」でなく、ただ1チャンネルを流しているだけの時には、ワンセグはそれのサイマル放送を流していれば十分だということだ。

 すなわち、飛行機のハイジャックが起きているとか、何か大きな事故が起きているとかという時のように、会社や外出時にも状況(情報)を適宜チェックしておき、家に帰ったら固定テレビでその後の進展を見るという具合である。

 そうした大きな事件のない時には、定時のニュースを流したり、それこそプロ野球やサッカーの試合の中継を流しておけばかまわない。一方、「まだら」になった場合も、ドラマのようなパッケージ物をワンセグで見る人は少ないと思う。こうしたことを考えれば、ワンセグ向け番組の制作費は、巷間言われるほど心配をしなくても済むのではないだろうか。

広告収入についての考え方

 ワンセグについても、広告放送が行われることになる。冒頭で視聴率の計測が難しいことが急所だと述べたが、現状の地上波の広告収入の状況を考えれば、仮にワンセグ・オリジナルの情報を流すとしても、その制作費を、広告を出すスポンサーから全額を回収しようと考える必要はない。

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