私的複製の行き過ぎた利用が著作物全般に悪影響を及ぼすことは明確だが、その“ある程度のコントロール”はどのような形で、どのような技術で実現されるべきなのだろうか。厳しいコントロールはユーザーの不利益にしかならないし、ゆるいコントロールでは、著作権者サイドが受け入れることはないだろう。
「デジタルの流れにCDが追いついていけない」(井出氏)というSMEが採用するレーベルゲートCD2は、HDDへの複製を1回だけ許可する(2回目以降は有償)という妥協点を作り出し、“ある程度のコントロール”という問題へ取り組んだものといえる。また、SDMI(Secure Digital Music Initiative)やコピーワンスもそうした問題への取り組みを規定したものといえる。
しかし、そうした考えを実現する技術は一部を除いて、「ルール」や「技術」としての確立が済んだばかりで、対応製品が広く普及しているとは言えないのが現状。事実、コピーワンス放送が始まった際には、当時流通していたHDD/レコーダーの一部にCPRMに対応していない製品も散見された。
家庭内ネットワークにコンテンツを乗せる際に必要になると思われる保護技術である「DTCP(Digital Transmission Content Protection)も技術としての確立はすんでいるが、対応製品は少ない(アイ・オー・データ機器の「Rec-POT M」やソニーの「VRP-T5」などが対応している)。
これ以外にも権利保護技術としては、DVD+R/RWメディアでの利用が想定されている「VCSP(Video Content Protection System、コードネームはVidi)」や、リムーバブルHDDの規格であるiVDRでの利用が想定されている「iVDR secure」、コンテンツ自体に信号を埋め込むことによって保護を行う「電子透かし」などが研究・提案されている。
次回では、こうした“これから利用されるであろう技術”について、それがどういった技術であり、どういった保護が可能になるのかについて話を進めていきたい。
■地上デジタル放送や音楽配信など、さまざまな形でのデジタルコンテンツの配布が行われるようになってきた。この普及で鍵になるのがデジタル化に対応した著作権管理だ。ただ、これは著作権者の権利を守る一方、従来、比較的自由だった私的複製を制限、ユーザーの利便性を下げるという悩ましい問題もはらんでいる。
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