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「新書店は太陽、古本屋は月」――紀伊国屋、Webと店舗で絶版文庫を取り扱い

» 2004年10月21日 17時39分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 紀伊國屋書店は絶版品切れ文庫の専門店「ふるほん文庫やさん」と提携、Webサイト「Kinokuniya BookWeb」にて、ふるほん文庫やさんが在庫として持つ絶版品切文庫の販売を開始する。また、全国62・海外26の紀伊國屋書店の店頭でも注文を受け付ける。

 現在、ふるほん文庫やさんは10万タイトル・50万冊の絶版品切れ文庫を所有しており、Kinokuniya BookWebからこれらの検索・購入が可能になる。価格は480円〜1280円(出版時の価格が1280円を超えるものについては例外あり)。

 受付・販売は11月中に開始される予定。サービス開始時に10万冊、向こう半年を目標に、ふるほん文庫やさんが在庫するほぼすべての絶版品切れ文庫の注文・購入に対応する予定。

 10月22日からは先行サービスとして、Kinokuniya BookWebにて500冊の絶版品切れ文庫を集めた「ベストセレクション」コーナーが設けられるほか、紀伊国屋新宿本店2Fの文庫売り場にて、常時340冊の絶版品切れ文庫を販売するコーナーが設けられる。

 ブックオフなどを始めとした新古本業者の台頭もあり、バブル崩壊後、出版不況が叫ばれて久しいが、旧来、新刊書籍販売店と古本書店は犬猿の仲。こうした提携は極めて異例のことだ。

photo ふるほん文庫やさん 代表取締役会長 谷口雅男氏(右)と紀伊國屋書店 代表取締役会長兼CEO 松原治氏。

 「大きな組織による、新刊とまだ流通している古本の併売は新刊書籍の売り上げをさらに落としてしまう。再販制度が撤廃される可能性も考えなくてはならず、“本を安く売っているところ”というだけでは古本屋は生き残れない」

 ふるほん文庫やさん 代表取締役会長の谷口雅男氏は、古本業としての生き残りを考えた末の提携であったことを述べる反面、今回の取り組みは、新刊書店と古本屋がお互いを補完し合う関係になることを目指すものだ強調する。

 「わたしは“新刊書店は太陽、古本屋は月”であると考えている。版元が絶版とした本については古本屋がフォローし、流通している本は新刊書店で、絶版本は古本屋でという流れを作りだしたい」(谷口氏)

 また、紀伊國屋書店 代表取締役会長兼CEO 松原治氏は 「新刊はどんどん出版されているが、ユーザーの欲しい本が絶版になっているケースも多く、その需要に応えることが必要。多くの利益が見込めるものとはいえないが、積極的に取り組んでいきたい」と期待を述べる。

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