ITmedia NEWS >

安心を「作る」――ホームセキュリティのコアパーツ「モニコンステーション」レビュー(3/3 ページ)

» 2004年11月12日 12時54分 公開
[大塚実,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 とりあえず自宅にはHAに対応した機器もないし、取り付けるのにちょうどいい照明もないので、ちょっと考えて、炊飯器を設置してみた。モニコンは、本来はセキュリティ向けの製品ではあるが、別にどんな機器を制御してもいいのだ。

 炊飯器の場合、炊きたてのご飯を食べたい時に、外出前にタイマーを設定しておくという手もあるが、予想外の残業などで帰宅時間が遅くなるということもある。その点、このシステムは外部からコントロール可能なので、会社を出る時にスイッチをONにすれば、帰宅時には炊きたてご飯が待っている、というわけだ(というか、残業時には会社近くの店で晩飯を食ってしまう気もする)。

photo 炊飯器をモニコンの負荷端子に接続する。スイッチは「炊飯」側にしておくのを忘れないようにしよう。500Wまでの機器なら接続は可能だ。しかし、接続されているセンサーは人体の検知に使える焦電型赤外線センサーキット
photo いざ、携帯電話から炊飯器ON……。このように、接続機器の名前をちゃんと設定しておけば分かりやすい

 実際に、携帯電話からアクセスしてスイッチを入れてみたが、送信ボタンを押してから6〜7秒後に炊飯器のスイッチが入るのは、見ていてなかなか楽しい。ただ1点、気になったのは、本製品では仕様上、そのままでは「センサー入力」→「機器制御」という連携動作を自動的に行うことができないところ。

 今回のシステム例では、「侵入者を検知」→「米を炊く」ということになり実用性はイマイチ期待できないが、実際の利用では、「侵入者を検知」→「使用者にメールで知らせながら、同時に設置した警報を鳴らす」といった使い方もしたいハズだ。

 現状でもセンサー検出によってメールを送信することはできるので、何らかのアクションをモニコン経由で行いたい場合には、そのメールを受け取った使用者が自分の手で(携帯電話などから)機器を動作させる――という流れになるのだが、使用者がメールをすぐ読める状態とも限らない。

 ブラウザから簡単に行動ルールのようなものを設定できれば便利なので、これは次の製品あたりでは改善を期待したい。現在の製品でも手動操作スイッチとセンサー入力の両端子に信号を与えるように工夫すれば、自動連係にすることは可能だが少々手間になるだろう。

ネットワークの知識があり、電子回路を組める人には最適

 冒頭でもコストについて触れたが、防犯システムというのは万が一の事態を防ぐためのもので、何もない時にはそれで特に便利になったりするものでもない。そのため大きな費用をかけることには心理的な負担を感じるところだが、この製品の35,800円(11月30日まで)という価格は、筆者としては「このくらいなら払ってもいいかな」というレベルだ。

 ブロードバンドをすでに導入しているユーザーであれば、それ以外に別途契約などが発生しないのもうれしい。さらに、セキュリティ用途以外にも、いろいろな機器を組み合わせて遠隔操作できるのも便利だ。

 ただ、問題はやはり導入に関する技術的な難易度だろう。センサーなどは別途用意する必要があり、これをキットなどから作れるならばいろいろとカスタマイズできるが、完成品を買うとなると結果的に高くついてしまうかもしれない。それに、負荷端子にはAC100Vが印加されるので、取り扱いには慎重さが求められる。家庭内の配線を業者に本格的に頼むとなると、そのコストも上積みされることになる(電気工事士法により、一般には禁止されている行為もあるので注意)。

 また、ネットワークに関する知識も、最低限DHCP・ダイナミックDNS・ポートフォワーディングなどの関する知識が必要になる。なにも精通しているというほどのレベルが要求されるわけではないが、LANポートにつなげるだけしかしたことがない、という人には敷居が高いと言わざるを得ない。

 面白い製品ではあるが、現時点ではやや使用者を選ぶ、といったところになりそうだ。だからこそ、腕に覚えのある人にはぜひ使ってもらいたい。「安心」を自作してみてはいかがだろうか。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.