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40万円で買える720p DLPプロジェクター シャープ「XV-Z2000」レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(2/4 ページ)

» 2004年12月17日 22時52分 公開
[本田雅一,ITmedia]

赤の純度を高めるパルス重畳を継承

 プロジェクターの画質を見る上で最も重要な要素と言えるコントラスト比は2500:1となっている。HD2+搭載プロジェクターとしては控えめな値だが、実際に投影される映像を見ると、2000:1のサンヨーLP-Z3や松下電器TH-AE700よりもずっと高いコントラスト感があることは一目瞭然だ。これはZ3やAE700がコントラスト拡張のためのギミックを使っている事が最も大きな理由だが、黒浮きが少なく黒が黒くきちんと表現されるためという理由も大きいだろう。

 2500:1という数値は最小絞り時のもので、アイリスを開放にした場合は1200:1となる。本機には電動アイリスが備わっており、その切り替えをリモコンから簡単に行える。アイリス開放ランプモード高時に1200ルーメン、アイリス最小のランプモード低時は700ルーメンと、最も暗いモードでも十分な明るさがある。

 レンズは2.6〜3.9メートルの範囲で100インチを投影できる1.5倍ズーム。ズーム比が1.5倍あるとはいえ、かなりの短焦点であるため、部屋の最後部に設置したい場合には投影サイズとの関係をチェックしておく必要がある。また、大変残念なことに本機にはレンズシフト機能がない。テーブル置きで使う場合、画面下端がレンズセンターよりやや上に来る迎え角が与えられている。こちらも設置条件をチェックしておくべきだろう。なおキーストーン補正は縦方向、横方向ともに可能な2Dタイプだ。

 このようにローコスト化のために妥協している部分もあるが、上位機種に採用されたパルス重畳は本機にも搭載されている。同社のパルス重畳技術は、プロジェクターに使われる高圧水銀ランプの黄緑が強く赤が弱いスペクトラム特性を補正するため、カラーホイールが赤の時だけランプ出力を高めるようパルス制御する機能である。これにより、プロジェクターでは出にくい“深紅”を表現できる。

 一方、データプロジェクターと共用となる筐体は、可搬性を意識したビジネス用途が優先され、かなりコンパクト。270ワットの高出力ランプの熱を処理する必要もあり、動作音は大きめだ。低騒音のランプ低モードでも32デシベルと、透過型液晶プロジェクターのレベルからすると相当に騒音が大きい。

 冷却ファンそのものは3つのファンを並列に並べ、側面から側面へとストレートに吸排気する構造を採っているが、ランプの発熱で大きく騒音を下げることは出来なかったようだ。

photo XV-Z2000付属のリモコン

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