三菱電機は、光ファイバーのゆがみ検知技術を応用した「光ファイバーセンサー応用セキュリティシステム」を開発、15日に行われた「2004年度 研究開発成果披露会」においてデモンストレーションを行った。
このシステムは、光ファイバーのコア部分に、ゆがみや熱によって反射光の周波数が変化する回折格子(FBG:Fiber Bragg Grating)を埋め込むことによって、光ファイバー自体をセンサーとして機能させるというもの。
平常時には光ファイバーを通過する光の波長に変化は起きないが、侵入者が光ファイバーに触れれば、光ファイバーはゆがみ、そのゆがみによって波長にも変化が起きる。接続された信号処理装置が、その波長の変化を侵入者の発見として認識するというシステムだ。
利用されている光ファイバーは、回折格子が設けられている以外は一般的な通信用光ファイバーと同じで、ここに1.3もしくは1.5マイクロメータの光を通す。1本の光ファイバーのなかには40個の回折格子を埋め込むことが可能で、そのひとつひとつに異なる屈折率を設定することができる。
複数の回折格子を設けることができるため、「引っ張り」「接触」「乗り越え」などさまざまな進入を、1本の光ファイバーで同時に検知できるのが大きな特徴。デモでは実際に、引っ張り、接触、乗り越えを感知できるセンサーが用意された。
こうした侵入検知の仕組みは電気式(電圧式)で既に市販化されているが、電気式ではセンサーを稼働させるために電源を別途用意する必要があるため、配線も煩雑になりやすい。また、電気式の場合では面抵抗が存在してしまうために長距離の配線には向かないが、光ファイバーの場合には給電の必要がないために、1本のファイバーで最大で30キロメートル先の様子までが監視できる。
コスト面では「センサーを用意する距離が1キロメートル程度ならば電気式の方が安く済むが、それ以上ならば光ファイバー方式の方が安価」(同社)だという。同社では社内施設にてセキュリティシステムとしての有効性・信頼性のテストを行っており、今年度中には空港や工場施設など、広い敷地面積を持つ施設の監視用として製品化を目指す考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR