コラム
» 2005年02月18日 11時50分 UPDATE

巨大地震対策としての「第二東京タワー」構想 (1/2)

「第二東京タワー構想」が大詰めを迎えている。放送局側は、タワー建設場所もさることながら、できるだけ早期に600メートル級の新タワーを建てたいとの気持ちを強く持っているようだ。これには地震対策としての意味合いも大きいからだ。

[西正,ITmedia]

東京で大地震が起こるケースへの備え

 今年の1〜3月のドラマの中では、毎週火曜の夜9時からフジテレビで放送中の「救命病棟24時」が高視聴率をマークしている。人気ドラマシリーズの三作目だが、今回は東京に大地震が起こった直後、大病院の救命救急が大混乱に陥る中、次々に運びこまれる急患にどう対応していくかを描いている。

 もちろん本コラムで番組評を書くつもりはない。ただ、ドラマの設定の中には、テレビ局としての東京大地震への警戒感がうかがえるシーンが数多く盛り込まれている。ドラマの最初にテレビ画面上に表示されるメッセージは、「昨年の8月、政府は今後30年の間に、東京にマグニチュード7クラスの直下型地震が起こる可能性は70%であると発表した」となっている。今起こっても不思議はないし、明日起こっても不思議はないということだ。

 仮に、首都直下型の地震が発生した場合、被害総額は100兆円に達するとの推定もあり、日本経済の中枢は一瞬にして麻痺状態に陥る恐れがある。

 また、世界主要都市の中では、自然災害リスク係数は、東京・横浜が世界一であると指摘されている。2位のサンフランシスコの4倍以上というのだから、リスクの大きさは圧倒的だ。自然災害リスクに敏感な外資系企業は、入居するビルを選択する際に耐震性の高低を評価する。ゴールドマン・サックス証券など外資の入居が多い六本木ヒルズなどは、耐震性が最高レベルにある点が選定理由になっていると言われている。

 企業にとって致命的なのは、災害によってビジネスが長期間停止してしまうことだ。放送局にとっても、それは同様。ただ放送局の場合、単にビジネスが停止するだけでなく、公共性の高い事業であるだけに、災害時に放送機能がストップしてしまうことの責任が大きく問われることになる。

 地上波放送の番組の多くは東京から発信されている。つまり、東京の放送局が潰れれば、テレビ放送は機能麻痺に陥ることになる。阪神淡路大震災から十年が経ち、昨年10月にも新潟県中越地震が襲ったばかりだ。NHKはもちろんのこと、民放キー局各社としても、さすがに早急に対処する必要性を感じるだろう。前述のドラマの中でも、テレビが映らないというシーンが出てくるが、決してフィクションとは言えない部分である。

 通常の企業であれば、東京と大阪の二本部制にしたり、コンピュータシステムのバックアップ体制を強化したり、資材調達のサプライチェーンを見直したりして、被災後にすぐに業務を復旧できる体制を整え、損害額を最小化することになる。

 ただ、放送事業の場合には、全国配信の7割近くの情報が東京から発せられているという事情がある。東京のキー局が災害対策に入念になるのには、それだけの必然性からにほかならない。

 そうした議論の中で、テレビ局の社屋もさることながら、昭和33(1958)年に建てられた東京タワーが地震に耐えられるのかということが、改めて問題視され始めているのである。

 昭和56(1981)年の建築基準法以前に建てられたビルには、地震に備えた建て替えの必要性が指摘されている。日本一のテレビ塔として強固に作られてはいるが、建築後の時間が経ち過ぎている点は気にかかるところであろう。

 もちろん、タワー自体が簡単に倒壊するとは思えないが、タワー内の建屋が崩壊してしまう危険性は否定できない。建屋の中には各放送局の機材が並んでいる。そこが崩壊してしまえば放送はストップしてしまう。

600メートル級のタワーへ

 第二東京タワーの建設候補地としては、東京都の足立区、豊島区、墨田区、台東区の他、埼玉県さいたま市が名乗りを上げている。

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