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「QRIO」、“勉強”に目覚める?(2/3 ページ)

» 2005年04月10日 06時21分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ボールと積み木を使った「インタラクティブ・プレイ」のデモでは、まずQRIOを教示モードにして左右にボールを転がす動作を学習させた。また、ボールを持ち上げる動作を別に教示しておく。すると、目の前にボールを置けば、転がす動作と持ち上げる動作を、どちらもするようになった。

 「動作を選択する基準は、ボールの位置だ。ボールが、左右どちらかの手に近ければ、近いほうの手で転がす。両手の中間にボールがあれば、持ち上げる。このデモンストレーションのポイントは、ボールを持ち上げる動作と転がす動作を別々に教えても、QRIOが状況の違いを判断して動作を選択できること」。

 今度は、色分けされた積み木を積むQRIO。最初に“黄色を青の上に積み、青を赤に積む”などと教示しておくと、QRIOは当然、決められた順番で作業を進めようとする。ところが、研究者が腕をつかんで青い積み木を先に積ませようとすると、QRIOは素直に従った。従来のプログラムではあり得ないことだ。

 実はこのとき、QRIOの中ではエラーが蓄積しており、「いわば、ストレスが溜まっている状態。ストレス(エラー)が溜まると、アトラクタ(行動を定義するもの)が切り替わる仕組みになっている」。つまり、人の手で簡単にロボットを誘導し、行動を修正できる。人間と一緒に生活するパートナーロボットには必要な柔軟性といえる。

photo 積み木を積むQRIO
photo QRIOにストレスを与えている様子

 モノマネのデモンストレーションでは、研究員が「うぁー」とか「うぃー」という奇声(?)をあげ、QRIOがそれを真似していた。このとき、研究員はわざと50音にない(=事前にプログラムしていない)中間的な音を選んで発声している。つまりQRIOは、耳(マイク)から入った音声信号を分析し、プログラムにある音の周波数やピッチなどを変え、近い音を“作り出している”わけだ。

photo まー
photo モノマネのデモンストレーション。このQRIO、まぶたと口を持っていた

 モノマネの意義は、人の動作を真似てロボットがスキルアップすること。発声に限らず、身体動作でも人の真似をして、その環境における有意義な動作を習得できるという。なお、モノマネのデモに使われたQRIOは、「感情表現」のために口と瞼を搭載していた。

photo 口と瞼を使った感情表現。しょんぼりしたQRIO(写真はスライドの画像)
photo 寝ているQRIO
photo 上のデモは、同社が提案するインテリジェンス・モデル「MINDY」に基づくもの。会場には研究のために導入されたPCクラスタシステム「IDEA」のサブセット(IDEA Jrという)が持ち込まれ、MINDYのニューラルネットワークを構成している。「IDEA」はOpteron/2.2GHzを352個搭載し、1.5488テラフロップスを叩き出すスーパーコンピュータ

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