ITmedia NEWS >
ニュース
» 2005年05月27日 22時30分 公開

NHK放送技術研究所一般公開レポート:技研公開に見る“テレビ今昔物語”――そして未来も (1/2)

日本で初めて映像伝送に成功したテレビから、ハイビジョンの16倍の情報量を持つスーパーハイビジョン、さらには“立体テレビ”の基礎となる技術など、多様な放送技術が展示されている。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 今年も技研公開の季節がやってきた。東京・世田谷区砧にある「NHK放送技術研究所」が最新の研究成果を一般公開する、年に一度のイベントだ。今年は創立75周年の区切りとあって、最新の研究成果とともにテレビの歴史を振り返る企画展示も用意していた。

photo NHK放送技術研究所。東京都世田谷区砧1-10-11

 入り口近くで注目を集めていたのは、日本のテレビの父といわれる高柳健次郎博士が1926年(大正15年)に初めて映像伝送実験に成功したテレビ実験装置だ。復元模型ではあるが、有名な「イ」の文字を目にできるのはなかなか感慨深い。ちなみに、走査線はわずか40本だ。

photo かの有名な「イ」。高柳博士が実験を行ったのは1926年で、NHK技研の設立は4年後の1930年。高柳博士は1937年にNHK技研に迎えられ、その後もテレビ研究に尽力した
photo 1973年に技研が試作したプラズマディスプレイパネル

 こちらはNHK技研が1973年に試作した7インチのプラズマディスプレイパネル。放電セル数は90×120。セルピッチは1.2ミリ。ネオン赤橙色の単色パネル表示装置だ。最高輝度は90カンデラ、コントラスト比47:1というスペックを持つ。このほか、NHKが三菱電機と共同開発したモニタースピーカーなど、テレビ放送の黎明期を支えた機器が一堂に展示されている。

photo NHK技研が三菱電機と共同開発した放送局用モニタースピーカー。懐かしいダイヤトーンに年配の来場者たちが目を細めていた

スーパーハイビジョン、家庭への導入シナリオ

 一方、最新技術としては、今年もスーパーハイビジョンの上映が行われていた。スーパーハイビジョンは、現行ハイビジョンの16倍にあたる7680×4320ピクセルの解像度を持つから、この3/4世紀で走査線は100倍以上になったわけだ。会場では、22.2chの立体音響システムと450型の大スクリーンを使い、4〜5分の映像を上映している。

 ここまでは昨年と同じだが、異なるのはスーパーハイビジョンの実用化に向けたスケジュールや伝送放送が具体的に展示されていたことだ。伝送には、21GHz帯の衛星放送システムを想定しており、会場には衛星に搭載するフェーズドアレイアンテナのモデルもあった。

photo 21GHz帯フェーズドアレイアンテナ。モデルは20本だが、この細い筒状のアンテナが100本から200本あれば、日本全国をカバーできるという。ミリ波帯は降雨などに弱いため、増力ビーム用アンテナによる降雨減衰補償技術の研究も進めている

 21GHz帯は、2007年に割り当てられる予定の周波数帯。600MHzが使用可能となり、大容量のスーパーハイビジョンでも「圧縮すれば数百Mbpsの容量になり、数チャンネルを設けられるはず」という。

 NHKが示した家庭への導入シナリオでは、まず2008年頃に家庭向け伝送システムの試作と実験を始め、2015年頃に実験放送を開始する計画だ。その後、メーカーなどと協力して家庭用ディスプレイと音響装置の開発を進め、環境が整う2025年頃にはスーパーハイビジョンの本放送を始めたいとしている。

photo スーパーハイビジョンのロードマップ

 スーパーハイビジョン用カメラも新しくなった。残念ながら現物の展示はなかったものの、新型は昨年展示したカメラの半分(40キロ)にまで軽量化されたほか、撮像素子をCCDから800万画素のCMOSセンサーに変更している。理由は、消費電力と画質面でメリットがあるため。

 「CMOSの場合、周辺回路を含めて同じダイで(カスタムICを)製造できる。つまり入力信号の減衰が減り、映像のS/N比向上が期待できる。また今回は読み出し方式も変更し、縦スジなどのムラがわかりにくくなった」。

photo CMOSセンサーに変え、重量が半分になったスーパーハイビジョンカメラ。残念ながらカメラの現物は展示していない

平面「たまちゃん」登場

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.