ITmedia NEWS >

コモディティ化が進むDVDメディアの“将来”インタビュー(2/2 ページ)

» 2005年06月23日 13時30分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2       

DVDメディアの“容量の壁”――「4.7Gにふさわしいコンテンツは存在し続ける」

 「保存メディア」としての性能を高めつつ、レコーダー普及の波に乗りたいという牧野氏だが、レコーダーが保存の対象とする放送の世界には、2011年に「アナログ停波―デジタル放送の開始」というパラダイムシフトが待ちかまえている。また、そのころにはHD放送もより拡大していることが予想されるため、DVDの4.7Gバイトという容量がネックになる可能性は高い。

 「HDによる放送が豊富に行われるようになり、ユーザーがそのコンテンツを録画したいと考えた場合には、DVDでは容量面の不満が出ることは間違いありません。そのときにはBlu-ray Discなりが求められることになります。ただ、TVの画面を含めたトータルの視聴環境が整わなければ、DVD以外の記録メディアを求める市場デマンドは発生しないでしょう」

photo 牧野氏が手にしているは書き換え型BD(BD-RE)メディアの「BD-RE135N」。同社はBlu-ray Disc Association(BDA)に加盟している

 「BDメディアについては、当面そう大きい需要を見込んでいません。業務向けに出荷している数の方が、圧倒的に一般向けよりも多いのが現状です。コンテンツ自体がまだまだ多くありませんしね」

 より記憶容量を必要とするHD放送が一般化すれば、DVDは記憶メディアの主役の座を明け渡すことになる。ただし、まだまだHD放送は一般化しておらず、BDについてもプロシューマから徐々に立ち上がることになる――というのが牧野氏の考えだ。ならば、その主役交代の時期はいつになるのだろうか? それとも、なんらかの“役目”を得てDVDは生き残っていくのだろうか。

 「昔は“CD-Rの次はDVD-Rだ”と考える向きもあったようですが、DVD-Rが普及しても、CD-Rの需要がそう大きく落ち込んだわけではないですよね? CDとDVDの両方を記録できる機械を持っていたとしても、音楽をDVDに保存する人は多くないはずです。コンテンツにふさわしいメディアであればそれでいいのです。VTRは放送されてくるコンテンツを保存するだけでしたが、DVDは放送をはじめ、自分で撮影した映像や写真、データまでも保存できます。4.7Gバイトという容量にふさわしいコンテンツは存在し続けます」

 「それに、2層化による容量アップや記録速度の向上、8センチサイズの普及など、まだまだ追求できる余地のある製品ジャンルだと思っています。踏んでも割れないPP(ポリプロピレン)ケースや整理しやすいインデックスシール、メディアの種類が分かりやすいパッケージなど、まだまだ付加価値を開発・追求する余地はあります。テープの時代からTDKというブランドを信頼してくれるユーザーの期待を裏切るわけにはいきません。どれだけその期待に応えられるかが、今後の課題だと認識しています」

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.